【デイリー No.1,813】オーストラリアの金融政策(3月) ~政策金利を最低水準で据え置き、住宅市場の追い風に~
2014年3月4日
<ポイント>
・豪中銀(以下、RBA)は市場予想通りに、政策金利を過去最低水準の2.50%で据え置きました。
・RBAは雇用の悪化を想定する一方、景気は低金利や昨年の豪ドル下落の影響で持ち直すと見ています。
・住宅市場の堅調さや資源輸出の回復が豪州景気を下支えし、豪ドルの底堅さは維持されそうです。
1.金利据え置き、低調な景気と物価上昇の両にらみ
RBAは4日、市場予想通りに政策金利を2.50%の過去最低水準で据え置くことを決定しました。声明では、失業率の一段の上昇などが見込まれるものの、低金利と昨年の豪ドル下落の影響によって、景気は持ち直していくとの見方を示しました。
一方、RBAが注目するのは物価です。RBAは消費者物価が年半ばにかけて前年比+3%前後となり、誘導目標の同+2%を、1%程度上回ると見ています。こうした背景から、RBAは今回、「政策金利の安定期間を取ることが適切」との見解を示しました。
2.住宅市場は堅調、大都市中心に資産効果の恩恵も
豪州景気を支えているのは、住宅市場です。住宅市場は過去最低の金利水準の追い風により、当面は堅調さが続きそうです。1月の住宅建設許可件数は前月比で+6.8%、前年同月比で+34.6%と市場予想を大きく上回りました。
10-12月期の住宅価格(8都市ベース)は前期比+3.4%、前年同期比+9.3%となりました。伸びの顕著なシドニーでは、前期比+4.7%、前年同期比+13.8%となるなど、資産効果の恩恵を受けている消費者は少なくないと見られます。
3.今後の市場見通し
豪州の実質GDP成長率はしばらくの間、年+3%をやや下回ると見られます。豪州としてはやや低めの成長ですが、堅調な住宅市場の消費への波及、資源輸出の回復などが下支え要因となり、豪州景気は今後も底堅く推移しそうです。
債券市場では、景気が緩やかな回復基調にあるとの見方を背景に、債券価格の上値は抑えられています。ただし、相対的に高い金利水準や信用力が豪州債券への需要を支えており、債券価格は今後も一進一退となりそうです。
為替市場では、経済のけん引役だった資源部門の投資ブームが一服して以降、豪ドルの上値は抑えられやすくなっています。ただし、足元では新興国懸念が一旦収まり、豪ドル円相場も持ち直してきました。また、今後も緩やかな景気回復期待に加え、高めの金利水準、豪ドル建て債券の高い信用力などが下支え材料となり、豪ドルの底堅さは維持されそうです。