ホームマーケット日々のマーケットレポート【デイリー No.1,805】ASEAN4のGDP成長率(10-12月期)/マーケット情報・レポート - 三井住友DSアセットマネジメント

【デイリー No.1,805】ASEAN4のGDP成長率(10-12月期)

2014年2月21日

<ポイント>
●インドネシアは輸出の増加、マレーシアは在庫の積み増しを背景に成長ペースが加速しました。
●フィリピンは政府支出と設備投資、タイは民間消費と設備投資が減速したことなどから成長率が低下しました。
●2014年のASEAN4の成長率は、インフラ投資が下支えすることや、外需の緩やかな回復に伴う輸出の持ち直しなどにより、概ね前年並みとなる見込みです。

1.インドネシアとマレーシアは成長ペースが加速

①インドネシア
 10-12月期の実質GDP成長率は前年同期比+5.7%と、前期の同+5.6%から加速しました。成長ペースの加速は6四半期ぶりとなりました。
 需要項目別では、GDPの5割強を占める民間消費が前年同期比+5.3%と、前期の同+5.5%から鈍化し、政府支出も同+6.5%と、前期の同+8.9%から鈍化しました。一方、外需の持ち直しや通貨下落の効果などにより、輸出が同+7.4%と、前期の同+5.3%から加速し、輸入が同▲0.6%と、前期の同+5.1%からマイナス転換したことにより、純輸出の寄与度が大きく上昇しました。純輸出が全体の成長をけん引しました。

②マレーシア
 10-12月期の実質GDP成長率は前年同期比+5.1%と、前期の同+5.0%から加速しました。成長ペースの加速は3四半期連続となりました。
 需要項目別では、GDPの約半分を占める民間消費が前年同期比+7.3%と、前期の同+8.2%から鈍化し、設備投資などの総固定資本形成も同+5.8%と、前期の同+8.6%から鈍化しました。また、輸出は同+2.9%と前期の同+1.8%から加速したものの、輸入が同+4.4%と、前期の同+1.8%から大きく増加したことで純輸出の寄与度は低下しました。
 一方、在庫の取り崩しから、前期は在庫変動の寄与度が大きなマイナスとなりましたが、10-12月期は在庫の積み増しが行われたことで寄与度がプラス転換しました。在庫の積み増しが全体の成長をけん引しました。

2.フィリピンとタイは成長が鈍化

①フィリピン
 10-12月期の実質GDP成長率は前年同期比+6.5%と、前期の同+6.9%から鈍化しました。成長率の鈍化は3四半期連続となりました。
 需要項目別では、設備投資などの総固定資本形成が前年同期比+7.0%と、前期の同+11.9%から鈍化し、政府支出も同▲5.2%と、前期の同+4.6%からマイナスに転換しました。主にこの2項目が全体の成長を鈍化させました。GDPの約7割を占める民間消費は、昨年11月に襲来した台風の影響が懸念されましたが同+5.6%と、前期の同+6.2%から小幅な鈍化にとどまりました。個人消費は底堅く推移しています。
 純輸出の寄与度は上昇しました。輸出が同+6.4%と、前期の同+12.8%から鈍化したものの、輸入が同+1.9%と、前期の同+16.4%から大きく鈍化したことが要因です。

②タイ
 10-12月期の実質GDP成長率は前年同期比+0.6%と、前期の同+2.7%から鈍化しました。成長率の鈍化は4四半期連続となりました。
 需要項目別では、GDPの約半分を占める民間消費が前年同期比▲4.5%と、前期の同▲1.2%からマイナス幅が拡大し、設備投資などの総固定資本形成も同▲11.3%と、前期の同▲6.3%からマイナス幅が拡大しました。2012年末に終了した政府の自動車購入促進策の反動や、反政府デモの拡大に象徴される政情不安などが要因です。
 一方、純輸出の寄与度は上昇しました。輸出は同+2.0%と、前期の同+3.8%から鈍化したものの、輸入が同▲3.5%と、前期の同+0.8%からマイナスに転換したことが要因です。

3.今後の見通し

 ASEAN4の10-12月期の実質GDPでは、底堅い民間消費や、輸出の増加ペースの加速が見られました(民間消費に関してはタイを除く)。一方、設備投資などの総固定資本形成は、一部の国で政策金利の引き上げが実施されたことや、米国のQE3の縮小観測などを背景に鈍化しました。
 2014年のASEAN4の実質GDP成長率は、インフラ投資が下支えすることや、外需の緩やかな回復に伴う輸出の持ち直しなどにより、概ね前年並みとなる見込みです。また、一部の国では経常赤字の拡大が懸念され、通貨が下落しましたが、足元では経常収支が改善傾向にあり、通貨の動向も落ち着きつつあります。一方、リスク要因は、米国や中国などの金融財政政策の動向を背景とした国際金融市場の大幅な変動や外需の下振れ、一部の国の政情不安と見られ、主要国の政策や一部の国の政治の動向には引き続き注意が必要と思われます。

関連マーケットレポート