【デイリー No.1,802】トルコの金融政策(2月) ~1月の臨時会合で大幅に引き上げた各種政策金利を据え置き~
2014年2月19日
<ポイント>
●トルコ中央銀行(以下、中銀)は18日、1月の臨時会合で引き上げた各種政策金利を据え置くことを決定しました。
●中銀は、現行の金融引き締め姿勢を物価見通しが大幅に改善するまで維持する方針です。
●リラは当面、高金利や政治的不透明感といった強弱材料が影響し、方向感のない動きとなりそうです。
1.市場予想通り、各種政策金利を据え置き
中銀は18日に定例の金融政策委員会を開催し、1週間物レポ金利(現行10.0%、以下同じ)、金利誘導目標レンジの上限金利(12.0%)、下限金利(8.0%)をいずれも据え置くことを決定しました。ブルームバーグがまとめた事前予想では、調査対象のエコノミスト全員が今回の据え置きを予想していました。
2.現行の金融引き締め姿勢を当面維持する方針
中銀は1月28日に臨時の会合を開催し、各種政策金利を大幅に引き上げていました。アルゼンチンペソの大幅な下落をきっかけにリラを含む新興国通貨が急落したことなどから、物価見通しの上ぶれの可能性を早めに抑える必要があると考えたためです。
今回の声明文では、最近の税制改正、リラの下落、食品価格の上昇などの影響を受けて、消費者物価指数の上昇率が当面中期的な目標(前年比+5%)を上回るとの予想が示されました。中銀が2月14日に発表した調査によると、市場関係者の2014年末の同指数の予想は前年同月比+7.92%と、1月の実績(同+7.75%)を上回っています。中銀は、現行の金融引き締め姿勢を物価見通しが大幅に改善するまで維持する方針です。
3.今後の市場見通し
中銀は、民間最終需要の減速と外需の回復により経常収支の赤字が縮小するとの期待を示しました。経常収支の改善期待や、海外と比較して高い金利水準はリラの下支え要因になると思われます。
一方、政治的不透明感が残るなか、3月には地方選挙、8月にはエルドアン首相の出馬が見込まれる大統領選挙が予定されており、政治の混迷が経済の停滞につながる可能性には注意が必要です。
リラは当面、上記のような強弱材料が影響し、方向感のない展開となりそうです。