【デイリー No.1,799】インドネシアの金融政策(2月) ~政策金利を据え置き、当面は現行水準を維持か~
2014年2月14日
<ポイント>
●インドネシア中央銀行(以下、中銀)は、政策金利を7.50%に据え置きました。
●GDPに対する経常赤字の比率が低下したことや、インフレ率が安定的に推移していることが主な要因です。
●中銀はインフレ率の動向を警戒しつつ、当面は現行の政策金利を維持すると思われます。
1.政策金利を7.50%に据え置き
中銀は13日、政策金利を7.50%に据え置くことを決定しました。昨年11月に政策金利を0.25%引き上げて以降、3会合連続で政策金利を据え置きました。
2.GDPに対する経常赤字比率の低下などが要因
中銀は、GDPに対する経常赤字の比率が低下したことや、インフレ率が安定的に推移していることなどから、政策金利の据え置きを決定しました。先進国向けを中心に輸出が増加したことや、内需の緩やかな調整により輸入が減少したことなどにより経常収支が改善し、GDPに対する経常赤字の比率は、2013年7-9月期の3.85%から同年10-12月期は1.98%に低下しました。また、2013年10-12月期の実質GDP成長率は前年同期比+5.72%と、前期の同+5.63%から加速しました。中銀は成長率が想定を上回ったと述べ、インドネシアのファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)は改善しているとの認識を示しました。
1月の消費者物価指数の上昇率は前年同月比+8.2%と、12月の同+8.4%から低下しました。中銀の目標値である+3.5%~+5.5%を大きく上回っているものの、昨年6月に実施された燃料価格の引き上げが大きな要因であるうえ、前月比では過去5年程度の平均値から大きな乖離はないと述べました。これらを背景に、中銀は2014年の消費者物価指数の上昇率が目標値に収まっていくとの見通しを示しました。
3.今後の見通し
政策金利の据え置きは市場予想に沿った決定であったため、今回の決定が市場に与えた影響は限定的でした。中銀はインフレ率の動向を警戒しつつ、当面は現行の政策金利を維持すると思われます。
インドネシアの株式市場は、国内景気や国際金融市場の動向に対して神経質な展開となる局面も想定されますが、中長期的には世界経済の緩やかな回復や、同国の経済と企業収益の成長期待を背景に底堅く推移すると思われます。