ホルムズ海峡の実質封鎖の長期化を懸念
中東情勢の緊迫化を受けた日本株式市場
2026年3月4日
【ポイント1】中東情勢の緊迫化で、日本株は総選挙後の上昇を打ち消す
■本日(2026年3月4日)の日本株式市場は大幅安となり、日経平均株価は54,245円54銭(前日比▲3.6%)、東証株価指数(TOPIX)は3,633.67pt(同▲3.7%)で取引を終えました。実に、米トランプ大統領が相互関税の導入を公表した2025年4月以来の下落率となりました。2月28日に米国とイスラエルがイランへの攻撃を実施して以降、中東情勢は一段と緊迫化しています。3月2日には、中東のエネルギー輸送の要所であるホルムズ海峡が実質的に封鎖されたとの見方が広がり、原油価格の急騰と株式をはじめとするリスク資産価格の下落につながったとみられます。
■日本はエネルギー調達における中東依存度が高く、輸入する原油の9割近くがホルムズ海峡を経由しているとされています。このため、同海峡の封鎖が長期化すれば、原燃料コストの上昇を通じた企業収益の悪化や、インフレ高進による個人消費の下押し懸念などが強く意識されたと考えられます。
■また、2月の解散総選挙で与党が圧勝したことを受け、高市政権の政策推進力が高まるとの期待から、日本株は主要国と比べて上昇率が大きかったことから、当面の利益を確定しようとする投資家の売りが膨らんだものとみられます(図表1)。
■弊社では、これまでの日本株上昇の原動力として、マクロ面では「賃金と物価上昇の好循環」、ミクロ面では「企業統治改革」といった前向きな変化を評価しています。
■2026年の賃上げ動向については、3月18日に春闘(春季生活闘争)の集中回答が予定されており、3年連続で5%程度の賃上げが実現する方向性を確認できるかが注目されます。また、6月にはコーポレートガバナンス・コードの改定が予定されており、「実のある」企業改革の一段の加速が期待されます。
【ポイント2】原油価格の動向を注視
■2026年に入り、米国によるベネズエラ侵攻やグリーンランドを巡る問題など、11月の中間選挙を控えたトランプ大統領の強硬な外交姿勢に対する懸念が意識されていました。イランを巡っては、2025年6月13日にイスラエルがイランへの攻撃を開始し、その後、米国がイランの核施設への空爆に踏み切りました。これにより、いわゆる「12日間戦争」と呼ばれる早期の決着につながりました。
■今回は、イランの報復攻撃が続いていることや、中東周辺国へと紛争が拡大する可能性に加え、ホルムズ海峡の実質封鎖が長期化するリスクにも留意が必要とみられます。ただし、原油価格が100ドル/バレルを上回る水準で長期に定着しない限り、世界経済や金融市場に与える影響は限定的にとどまるとみられます。実際、ブレント原油先物の値動きを確認すると、直近(3月3日時点)で80ドル台前半への上昇にとどまっています(図表2)。
【今後の展開】短期的には変動率が高まるも、徐々に落ち着きを取り戻すと想定
■当面の日本株式市場は、中東情勢をめぐる地政学リスクの高まり、特にホルムズ海峡の実質封鎖によるエネルギー価格高騰リスクが警戒され、株価のボラティリティ(変動率)の高い展開が続くことが想定されます。下値の目途としては、50日移動平均(日経平均株価:53,898円)、2025年末終値(同:50,399円)、200日移動平均(同:46,269円)などが挙げられます。一方で、前述したマクロ・ミクロ両面における日本の前向きな変化を、海外投資家を中心に再評価する動きは続くとみられます。このため、日本株は徐々に落ち着きを取り戻し、日経平均株価は2026年末に61,500円を見込みます。
シニアマーケットストラテジスト
久髙一也(ひさたか かずや)
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