ホームマーケット日々のマーケットレポート中国の8月の主要経済指標は予想を上回るも力強さを欠く不動産市場が引き続き低迷、景気は当面停滞が続く

中国の8月の主要経済指標は予想を上回るも力強さを欠く 不動産市場が引き続き低迷、景気は当面停滞が続く

2022年9月21日

【ポイント1】8月の主要指標は市場予想を上回る

■中国国家統計局は16日、8月の主要経済指標を発表しました。鉱工業生産は前年同月比+4.2%となり、7月の+3.8%から伸び率が拡大しました。小売売上高も前年同月比+5.4%と、7月の+2.7%か
ら伸びが加速しました。また、1~8月の固定資産投資は前年同期比+5.8%と、1~7月の+5.7%からわずかに改善しました。


■主要指標はいずれも市場予想をやや上回り、前月から持ち直しました。しかし、特に小売売上高は、昨年8月の新型コロナウイルスの防疫措置強化による反動で、ベース効果の影響が大きかったとみられます。

【ポイント2】不動産市場は引き続き低迷

■一方、同日発表された8月の主要70都市のデータに基づく新築住宅価格は前月比▲0.29%と、7月の▲0.11%から下げ幅が拡大し、12カ月連続で下落しました。不動産開発投資(1~8月)も前年同期比▲7.4%と、前月の▲6.4%から下げ幅が拡大しました。建設が止まったマンションで購入者が住宅ローン返済を拒否する動きが相次ぐなど住宅市場が混乱しており、不動産市場は依然として回復の兆しが見えていません。

【今後の展開】中国景気は当面停滞が続く

■8月の主要経済指標は市場予想をやや上回りましたが、不動産市場は引き続き低迷しており、中国景気は当面停滞が続きそうです。中国政府によるゼロコロナ政策の堅持や不動産への流動性規制は、習近平国家主席が強くコミットしている政策とみられるため、10月の党大会後も大幅な修正は難しいと考えられます。今後もこれらの要因が企業や家計のセンチメントの改善を妨げ、中国景気の足かせとなりそうです。弊社は、2022年の経済成長率見通しを+2.9%に下方修正しました。

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