2020年の為替市場の振り返りと見通し
じりじりと米ドル安・円高が進行

2020年12月30日

【ポイント1】対米ドルはじりじりと円高

■2020年の米ドル円相場は、コロナ・ショックを受けて3月まで大きく変動しましたが、それ以後はじりじりと米ドル安・円高基調となりました。コロナ・ショック前の2月20日に112.09円をつけた後、3月9日には102.55円まで米ドル安・円高となりました。その後、3月24日に111.49円まで戻した後は落ち着きを取り戻しました。5月以降は各国・地域の積極的な金融財政政策の実施などから、金融市場はリスク選好色が強まりました。米ドルからそれ以外の主要国への資金流出の流れを受け、米ドル安・円高が進みました。

■一方、ユーロ円相場は、コロナ・ショックなどから6月までユーロ安・円高が進みましたが、欧州景気の回復期待の強まりや復興基金の合意などを受け、次第にユーロ高・円安方向となりました。英ポンド、豪ドルは3月に大幅な下落を記録しましたが、以後は落ち着きを取り戻しました。

【ポイント2】新興国通貨は2極化

■主要新興国通貨は、インド・ルピー、人民元は安定して推移しましたが、ブラジル・レアル、トルコ・リラは下落が目立つなど、2極化が進みました。ルピーはインドの新型コロナの新規感染者数は多いものの、金融財政政策が功を奏して安定的に推移しました。人民元は中国経済のいち早い回復を背景に安定した推移となりました。リラはコロナ・ショック後、7月まで底堅く推移しましたが、外貨準備高の急減を受けて大幅な下落に見舞われました。レアルは財政赤字の大幅な拡大や政治的な混乱から信用リスクが拡大し軟調な地合いとなりました。

【今後の展開】米ドル安・円高の流れから年後半にかけ緩やかな米ドル高・円安へ

■2021年の米ドル円相場は、米ドル安・円高の流れが続いた後、年後半にかけて米景気が回復するにつれて、米長期金利が緩やかに上昇し、米ドル高・円安へ転じる見通しです。また、米連邦準備制度理事会(FRB)による将来的な資産購入額の段階的な縮小(テーパリング)から米ドルの供給超過状態の修正が意識されれば、それも米長期金利の上昇要因になり、米ドル高・円安へ作用すると予想されます。ユーロは、感染拡大による景気の先行き懸念や欧州中央銀行(ECB)の大規模な金融緩和政策が重石ですが、ワクチン効果や復興基金による投資拡大への期待がユーロの支援材料となる見通しです。新興国通貨は、経済の回復ピッチ、政治リスクなどにより選別色が強まると見込まれます。

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