アジア・オセアニアのリート市場は米大統領選を通過し反発
不透明感解消し上昇に転じる

2020年11月10日

【ポイント1】アジア・オセアニアリートは10月の下落後、反発へ

■10月のアジア・オセアニアのリート市場は全ての市場が下落しました。シンガポールは、米長期債利回りの上昇を受けてリートから株式へシフトしたとみられる動きや、大型増資による需給悪化懸念などから前月比▲7.0%下落しました。香港は、消費の回復の鈍さから商業施設関連が軟調となり同▲5.5%下落しました。その他、米欧での新型コロナ感染再拡大によって投資家心理が悪化したことなどが背景となりました。

■しかし11月3日以降は米大統領選を巡る不透明感がやや解消し、市場にリスク選好的な動きが広がったことなどから上昇に転じました。9日現在、アジア・パシフィック・リート指数(除く日本、現地通貨ベース)は9月末比+4.5%、香港は同+0.4%、シンガポールは同▲0.7%、オーストラリアは同+8.5%となっています。

【ポイント2】新型コロナの感染再拡大で、各国の感染対策・状況に注目

■市場では米大統領選を巡る不透明感がやや解消し、ワクチンの動向を含め、新型コロナ感染再拡大やその影響が再び注目されるとみられます。欧米では都市封鎖(ロックダウン)や行動制限の再導入などが報じられていますが、現時点でアジア・オセアニア域内の新型コロナ感染状況は総じて落ち着いています。防疫体制が堅固で新型コロナの感染が抑制されている国同士での隔離期間なしの往来が協議される中、人の往来の再開が消費の回復につながることが期待されています。

【今後の展開】中国を含むアジアの消費拡大を取り込むシンガポールは高評価

■シンガポール市場は政府の徹底した感染対策が高く評価されています。また、産業施設セクターでは、eコマースを含めて中国・ベトナム・マレーシアなどアジア太平洋で消費が拡大する都市で、近代的な物流施設のニーズを取り込むなど、引き続き堅調な業績が予想されます。大規模増資が懸念されますが、価格調整は短期的なものにとどまり、概ね堅調に推移するとみています。

■オーストラリア市場は、政府の積極的な財政政策や豪州準備銀行(RBA)の金融緩和が下支えとなり、上向きの推移を予想します。所得税減税などとともに、初回住宅購入者向け優遇策の拡充などから住宅開発販売のリートの業績動向が注目されます。一方、香港市場はレンジでの推移を想定します。政治的に中国の影響力が高まる中、一部の資金が国外に流出する可能性があるためです。

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