急落した米国株式市場
期待と実態のせめぎ合いが続こう

2020年6月12日

【ポイント1】NYダウは史上4番目の下落幅

新型コロナウイルス感染の再拡大の兆しも嫌気

■11日の米国株式市場は大きく調整しました。NYダウは1,861.82ドル安の25,128.17ドルと3月16日以来の大幅下落となりました。欧州株や日本株も下落しました。これは株式相場にやや過熱感が出ていたところに、11日の政策決定会合で米連邦準備制度理事会(FRB)が経済の先行きに慎重な見通しを示したこと、米国で新型コロナウイルス感染の再拡大の兆しが表れていること等が嫌気された模様です。

【ポイント2】FRBの見通しは市場が悲観するような内容ではない

新型コロナ感染の再拡大には注意が必要だが、ソーシャルディスタンスが重要

■FRBの経済見通しは、今年のGDP成長率予想が▲6.5%、来年が+5.0%で、失業率は今年の年末が9.3%、来年が6.5%でした。コンセンサスでは、今年のGDP成長率が▲5.7%、来年が+4.0%ですので、今年の落ち込みはやや深めですが、来年は大きくリバウンドするとFRBは見込んでいます。失業率の見通しもコンセンサスは来年が8.0%ですので、FRBの見通しは市場が悲観するような内容ではなかったと考えられます。

■新型コロナ感染の再拡大については、テキサス州、カリフォルニア州、フロリダ州等で新規感染者数が増加しています。ただ、必ずしも経済活動の再開と新規感染の再拡大が一致している訳ではないようです。経済活動の再開よりもマスクの着用や人との距離の維持(ソーシャルディスタンス)が守れているかが重要と見られます。

【今後の展開】期待と実態のせめぎ合いが続こう

■株式市場にはやや過熱感がありました。株式市場の評価で一般的に使われる12カ月先予想ベースの株価収益率(PER)で見ると22倍程度で、株価は期待を織り込み過ぎていたと見られます。経済活動は改善に向かいつつあるとはいえ、実態経済が新型コロナウイルスの感染が拡大する前の姿に近づくには時間を要します。企業業績もようやく底を打って改善に向かう段階です。

■株式相場は将来への期待を織り込んで動くため、実態に先行することは不思議ではありません。ただ、新型コロナウイルス感染の収束と経済や業績の改善が一本調子で進むとは限りません。株式市場は今後もその進捗への期待を反映して上昇トレンドが続く可能性が高いと見られますが、実態を確認して調整する場面は今後も繰り返されると見られます。

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