ホームマーケット日々のマーケットレポート米国の雇用は一時的な下振れ(2018年11月)労働市場の基調に大きな変化はない

米国の雇用は一時的な下振れ(2018年11月)
労働市場の基調に大きな変化はない【デイリー】

2018年12月10日

【ポイント1】雇用者数は15.5万人増

基調としては20万人程度で増加

■2018年11月の非農業部門雇用者数は、前月比15.5万人増となりました。

■ブルームバーグ集計による市場予想の同19.8万人増を下回りましたが、もともと雇用者数は月毎の振れの大きい統計です。悪天候による就業不能者や時短労働者もやや残っていること等から判断すると、今回の下振れは、一時的なものと考えられます。

■実際、6カ月移動平均、12カ月移動平均をとると、それぞれ19.5万人増、20.4万人増となり、基調としては20万人前後の増加ペースを維持しています。

【ポイント2】失業率は引き続き低い水準

緩やかに高まる賃金上昇率

■失業率は前月比横ばいの3.7%でした。労働力人口(労働供給)と、就業者数(労働需要)がほぼ同様のペースで拡大したためです。

■一方、賃金は前月比0.2%増、前年同月比で3.1%増となりました。前年比の伸び率は、前月に続き3%台を維持しました。

【今後の展開】利上げは最終局面へ

■雇用統計が公表された12月7日の米国市場では、株価が下落、債券価格は上昇(利回りは低下)しました。トランプ政権高官の発言を受けて、米中貿易摩擦への警戒感が再び強まったためです。雇用統計の内容は、雇用者数が市場予想を下回るなど、やや弱めの内容でしたが、12月の利上げを妨げるものではないとの評価が優勢でした。

■米連邦準備制度理事会(FRB)は、今後も利上げを継続する見通しです。ただし、(1)海外経済の減速や財政による刺激効果の剥落等からFRBが米景気の先行きに対してやや慎重になってきていること、(2)物価上昇率が落ち着いていること等を踏まえると、来年には利上げを打ち止めると見られます。

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