米国経済と長期金利の見通し(2018年5月)
足元の米国経済は+4%程度のペースで拡大【デイリー】
2018年5月29日
【ポイント1】景気は順調に拡大
足元は+4%程度のペースで拡大
■米国の労働市場は堅調に推移しています。2018年4月の非農業雇用者数は前月に比べ+16.4万人増となりました。3カ月移動平均では同+20.8万人と、月平均+20万人超の増加ペースを維持しています。一方、失業率は3.9%でした。2000年12月以来の4%割れです。
■アトランタ地区連邦準備銀行が開発した経済モデルによれば、5月25日までに公表された経済指標をもとに推計した4-6月期の米実質GDP成長率は、前期比年率+4.0%と高い水準になっています。

【ポイント2】物価は一時的に上振れ
診療報酬の引き上げ等が影響
■米連邦準備制度理事会(FRB)が注目している個人消費支出(PCE)物価指数のうち、変動の激しいエネルギー、食品を除いたコア指数の2018年3月は前年同月比+1.9%となりました。
■FRBの目標値+2%に接近してきましたが、医療機関への診療報酬の引き上げ等によるところが大きいと見られています。需給逼迫によるインフレ圧力の高まりを示すものではなく、一時的な上振れといえるでしょう。

【今後の展開】長期金利は徐々に上昇へ
■景気、雇用の順調な拡大を背景に、6月12日、13日に開催される次回の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、0.25%の利上げが決定される公算が大きいと考えられます。その後も拡張的な財政政策に支えられて、米景気が拡大を続けると予想されるなか、FRBは利上げを継続すると見られます。
■米10年国債利回りは、3%前後まで上昇してきました。利上げの継続が見込まれること等から、今後も長期金利には上昇圧力がかかりそうです。ただし、賃上げの抑制等により、物価の上昇が大幅に加速する可能性は低く、利上げは緩やかなペースで進められると予想されます。従って、長期金利の上昇も緩慢なものとなりそうです。
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