アジア・オセアニアのリート市場は横ばい(2018年3月)
長期金利低下と株価下落の綱引き【デイリー】
2018年4月10日
【ポイント1】3月はほぼ横ばい
長期金利低下と株価下落が背景
■18年3月のアジア・オセアニアのリート市場を現地通貨ベースで見ると、米中の貿易摩擦の激化を嫌気した株価下落が重石となったものの、長期金利の低下が支えとなり、ほぼ横ばいの動きとなりました。
■シンガポール市場は、株式市場が調整したものの、長期金利の低下や景気回復期待を背景に底堅い展開となり、小幅に上昇しました。
■香港市場も、金融政策の連動性が高い米国の利上げが想定通りであったこと等を受け、小幅高でした。
■オーストラリア市場は、株式市場が下落するなか、長期金利が低下したことが支えとなり、横ばいでした。

【ポイント2】円ベースはまちまち
豪ドルが円高でマイナス寄与
■18年3月の騰落率を円ベースでみると、シンガポール市場が+0.9%、香港市場が▲0.2%、オーストラリア市場は▲1.9%と、まちまちでした。
■3月の円相場は、豪ドルや香港ドルに対してやや円高となったため、為替効果がマイナスに寄与した一方、シンガポールドルに対しては小幅の円安となり、為替効果がプラスに寄与しました。

【今後の展開】先行き不透明感のなかでリートのディフェンシブ性に着目
■米中の貿易摩擦問題など世界の政治や経済に対する先行き不透明感が続くなかで、投資家は株式投資にやや慎重な姿勢を続ける可能性があります。ただし、世界的に景気が堅調である一方、低インフレの下で長期金利が落ち着きつつある状況下、投資家は安定的な賃貸収益を背景としたリートのディフェンシブ性に着目することも想定されます。特に、主要国のリート市場に比べ、配当利回りが相対的に高く、財務状況が健全なアジア・オセアニアのリート市場は選好されやすいと思われます。
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