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“米国第一”を掲げる「予算教書」(米国) 【キーワード】

2017年3月21日

<今日のキーワード>
「予算教書」は、大統領が連邦議会に提出する予算の編成方針のことです。「予算教書」には、中長期的な財政運営の方針や対外援助、国防予算なども盛り込まれ、世界経済にも大きな影響を及ぼすことから、世界的に注目されています。「予算教書」は、政治課題を表明する「一般教書」、現在の経済情勢と経済政策を示す「大統領経済報告」と共に「三大教書」と呼ばれています。

【ポイント1】トランプ大統領、「予算教書」を公表

公表されたのは一部のみ、全体像が判明するのは5月頃となる見通し

■トランプ大統領は3月16日に、2018年度(2017年10月~18年9月)の「予算教書」を議会に提出しました。ただし、完全なものではなく、国防費や教育関係費などの裁量的支出(議会が毎年可決する歳出法案のなかで金額が決められるもの)のみを対象としています。

■米議会予算局(OMB)によれば、公的年金等の義務的支出(既に存在する法律に基づいて金額が決められる支出)や税制を含む完全な予算案の発表は、5月頃になる見通しです。なお、米国の歳出は、約3分の1が裁量的支出、約3分の2が義務的支出で構成されています。

【ポイント2】国防費を大幅に増額

“米国第一”主義を掲げる

■今回、提出された「予算教書」の表紙には、「“米国第一(America First)”米国を再び偉大にするための予算の青写真」との標題が掲げられています。

■内容は、トランプ大統領の従来からの主張通り、国防省の予算が17年度予算(実績見込み)対比10%増と大幅な増加となっています。これに対して、環境保護局が同31%減、国務省が国際援助・開発支援を中心に同29%減、教育省が同14%減などとなっています。国防支出を増やす一方、非国
防支出を減らすことで、裁量的支出全体では前年度に比べ小幅減となっています。

【今後の展開】設備投資は今後、上向く見通し

■資金面から見た設備投資の拡大余地は大

直近の米企業のファイナンシング・ギャップは+0.37%と、1970年以降の平均+0.81%よりも低い水準にとどまっています。資金面から見た米企業の「設備投資余力」が大きいことを示唆しています。

■景気循環は上向き、設備投資も増加しよう

現在、米国は景気循環の上昇局面にあり、今後は企業利益の持ち直しが見込まれます。「設備投資余力」が大きいことから、投資も増加の勢いを増すと予想されます。

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