良好なパフォーマンスの「投資適格債」(米国) 【キーワード】
2016年5月18日
<今日のキーワード>
「投資適格債」とは、発行体の債務不履行(デフォルト)リスクが低く、信用力の高い債券のことです。格付機関は債券の元利金の支払いの確実性を評価していますが、ムーディーズ社の場合はBaa格以上、スタンダード・アンド・プアーズ社の場合はBBB格以上に格付した債券のことを「投資適格債」といいます。それよりも低い格付のものを投機的格付債、あるいはハイイールド債と呼びます。
【ポイント1】増加する社債発行
「投資適格債」の発行額は過去最高を記録
■米証券業金融市場協会(SIFMA)の統計によれば、2015年の社債発行額は1兆4,937億ドル(約179兆円、1ドル=120円で換算)となり、4年連続で史上最高を記録しました。このうち「投資適格債」の発行額は過去最高の1兆2,330億ドルでした。
■2016年に入っても1~4月累計の発行額は5,154億ドル、うち「投資適格債」は4,477億ドルと、それぞれ前年同期の5,866億ドル、4,593億ドルには及ばないものの、極めて高い水準を維持しています。
【ポイント2】良好なパフォーマンス
リスク回避資金の受け皿
■景気拡大の持続に伴い企業の資金需要が増大していること、米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げが進む前に低金利の資金を調達しようという動きが盛んになっていること、相対的に高い利回りと安全性を兼ね備えた「投資適格債」への需要が拡大していることなどが、理由として挙げられています。
■米国「投資適格債」のトータルリターン指数は、今年に入り堅調な推移となっています。この間、原油価格の急落や中国経済の先行き不透明感の強まりなどから世界的な株価の調整が見られましたが、「投資適格債」が株式市場からの逃避資金の受け皿になったと見られます。

【今後の展開】「投資適格債」市場の活況は続く見込み
■落ち着いた金利水準と景気・企業収益の拡大が「投資適格債」の支えになろう
雇用統計などの指標は、米国景気の順調な拡大を示しています。つれて企業収益の拡大も見込まれます。一方、物価が落ち着いていることから、利上げのペースは緩やかになる見通しであり、長期金利は落ち着いた動きになると予想されます。これらを踏まえると、社債市場の活況は今後も続く見込みです。