銀行の家計向け「融資スタンス」は緩和的(米国) 【キーワード】
2016年5月16日
<今日のキーワード>
米連邦準備制度理事会(FRB)は、四半期ごとに「商銀上級融資担当者調査」を実施しています。これは、商業銀行の融資担当者を対象に、融資の基準や条件、資金需要の動向などをアンケート方式で調査したものです。直近の調査は、国内銀行70行、外国銀行支店22行を対象として、2016年3月29日から4月12日の間に実施されました。
【ポイント1】資金需要は大幅に拡大
全体的な融資基準はやや強化
■まず資金需要が「増加」したとの回答比率から「減少」したとの回答比率を引いて、独自に算出した資金需要DIは10.6%でした。前回2016年1月調査時点の▲4.9%から大幅な上昇です。資金需要が急激に増加したことを示すものです。
■資金需要の増大に伴い、融資基準は僅かながらも強化されました。融資基準を「強化」したとの回答割合から「緩和」したとの割合を引いた融資総合基準DIは前回調査の▲1.3%から+3.1%へ上昇しました。
【ポイント2】家計向けの融資基準は緩和
企業向けは強化
■融資の種類別に見ると、基準が強化されたのは企業向けの融資基準です。例えば、大・中規模企業向けの融資基準DIは前回の+8.2%から+11.6%、小規模企業向けが+4.2%から+5.8%へと、融資基準を「強化」したとの回答比率が増加しています。
■これに対して、家計向けの融資基準DIは、政府系住宅金融会社の保証がついた住宅ローンが▲11.3%、クレジット・カードが▲5.7%、自動車ローンが▲3.3%など、いずれも融資基準を「緩和」したとの回答比率が、「強化」したとの回答比率を上回っています。

【今後の展開】緩和的な融資基準は家計支出の拡大を支える見込み
■家計支出を軸に米景気は拡大持続へ
商業銀行の家計向け融資基準DIは、個人消費や住宅販売投資に先行する傾向が認められます。商銀の融資スタンスから判断すると、米国の景気は住宅を支えに拡大基調を維持する見通しです。
■米国株は景気拡大を織り込む展開へ
米国株式市場は、最高値近傍でもみ合う展開となっていますが、今後は家計の支出を支えとした景気の拡大と、企業収益の増加を織り込む展開になると予想されます。