米国の「暴風雪」は景気を下押し?(米国)【キーワード】
2016年2月2日
<今日のキーワード>
米国では1月中旬までは暖冬でしたが、下旬から気温が急激に低下し、特に1月22日から23日にかけては、発達した低気圧の影響で東海岸を中心に記録的な「暴風雪」に見舞われました。スノー(雪)と怪獣ゴジラを合成した「スノージラ(Snowzilla)」と呼ばれる今回の「暴風雪」により、交通網の麻痺や停電などで約8,500万人が影響を受け、10億ドルに及ぶ損失が発生したと報じられています。
【ポイント1】東部海岸地域に記録的な大雪
11の州が非常事態などを宣言
■米国の気候を、暖房指数で見ると、今年1月中旬までは例年よりも温暖でした。それが同月下旬から一転して寒冷な気候へと変化しています。
■特に1月22日から23日にかけては、東海岸地域が豪雪に見舞われ、多いところで1メートルもの積雪を記録しました。このため首都ワシントンやペンシルベニア州フィラデルフィアなどでは公共交通機関が全面停止となり、ワシントンのほか、ニューヨーク州、ニュージャージー州など11の州が非常事態などを宣言しました。
【ポイント2】経済損失は10億ドル
復旧需要で経済を押し上げる面も
■豪雪は輸送業や建設業などの活動を抑制します。米国のメディアによれば、約8,500万人が今回の「暴風雪」の影響を受け、経済的損失は10億ドル(約1,200億円)にのぼると見られています。
■ただし、経験則によれば、自然災害によって発生した損失の影響は、その後の復興需要による経済の押し上げ効果で相殺されます。加えて、米国の経済規模(名目GDP)が約18兆ドルであることを踏まえると、今回の「暴風雪」が、16年1-3月期の成長率に大きな影響を及ぼす可能性は低いといえます。

【今後の展開】米経済は拡大を維持する見通し
■米経済は雇用、所得、消費の好循環を維持
米国経済は、雇用の拡大が所得の増加を通じて消費を増やし、それが再び雇用を増加させるという好循環を維持しています。全体としてみれば今回の「暴風雪」によって、この循環に変調をきたすことはないと考えられます。
■緩やかな利上げ継続の見通し
景気・雇用が拡大基調を維持していることから、16年も利上げが継続されると見られます。ただし、物価が低位で落ち着いているため、利上げのペースは緩やかなものになる可能性が高いと見られます。