「TPA」法案が上院を通過(米国)【キーワード】
2015年5月25日
<今日のキーワード>
「貿易促進権限(TPA=Trade Promotion Authority)」法案は、米国議会が通商交渉の権限を大統領 に一任することを認めるものです。議会は大統領が外国政府と合意した通商協定案について、賛成 するか否定するかを決めるだけとなります。「TPA」法案は5月22日に上院本会議で可決されました。 今後は、6月1日から下院での審議がスタートし、8月からの夏期休会までに成立するかに注目が集 まります。「TPA」法案が成立すれば、TPPの日米交渉、全体交渉が加速することになります。
【ポイント1】「TPA」法案が上院を通過
次の焦点は下院での審議だが難航する見通し
■5月22日、米国上院本会議で「TPA」法案が可決されました。同法案は15日から審議が行われていました。今後は、下院での審議が本格化することになりますが、反対派も多く難航が予想されます。その後は上下両院の共同審議を経て、遅くても8月からの議会夏期休暇入り前に成立すると見られています。
【ポイント2】「TPA」でTPP交渉が加速
大統領に交渉権を一任
■「TPA」により、議会は大統領が外国政府と合意した通商協定案について、一括承認するかどうかを決めるだけで済むため、通称「ファストトラック(追い越し車線)」法と言われます。前回は、2002年にブッシュ大統領に与えられましたが2007年に失効しました。「TPA」は大きな案件ごとに、期限付きで認められるのがこれまでの経緯です。
■「TPA」法案が成立すれば、米国の意思決定が迅速化すると思われ、環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉が加速すると期待されます。それ以外の貿易協定についても進展が期待されます。例えば、世界貿易機関(WTO)は、前回のTPA期限切れで中断せざるを得なかった新多角的貿易交渉(ドーハラウンド)を再開することができます。他に、米欧で進められている環大西洋貿易投資協定(TTIP)も促進が期待されます。

【今後の展開】TPP交渉参加国は年内妥結を目指す
■「TPA」法案の7月末までの成立に期待
「TPA」法案は、上院を通過しましたが、次は下院での審議、上下両院の共同審議などが行われることになります。「TPA」法案の成立目標は6月と言われていますが、遅くとも7月末までに成立できるかどうかが注目されています。
■TPP交渉参加国は年内妥結を目指す
「TPA」法案が成立すれば、日米交渉にも弾みがつくと思われます。日米間では、米国産のコメの受け入れや自動車部品の関税等を巡ってまだ対立が続いており、引き続き妥協点を探る展開です。日米間の協議が妥結すれば、他の10カ国との交渉にも弾みがつくと思われます。