ホームマーケット日々のマーケットレポート日米欧の「フォワードガイダンス」(先進国)【キーワード】/マーケット情報・レポート - 三井住友DSアセットマネジメント

日米欧の「フォワードガイダンス」(先進国)【キーワード】

2015年3月18日

<今日のキーワード>
「フォワードガイダンス」は中央銀行によって示される金融政策の先行きに関する指針です。現行の政策を一定期間続ける旨を表明することなどによって市場の期待に働きかけ、金融政策の効果を高めることを目的とします。現在、日銀、欧州中央銀行(ECB)、米連邦準備制度理事会(FRB)が非伝統的金融政策の手段として用いています。

【ポイント1】日銀の物価目標は期限付き、ECBの量的緩和は期限なし

いずれも積極的な緩和姿勢を示す内容
■日銀の量的・質的金融緩和におけるフォワードガイダンスは、「2%の物価安定の目標を2年程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に実現する」というものです。物価目標の達成に期限が明示されていることが大きな特徴で、デフレ脱却に向けた日銀の強い決意が示されています。

■ECBの量的緩和におけるフォワードガイダンスは月間600億ユーロの国債などの買い入れを「少なくとも2016年9月まで」行うというものです。ただ同時に「物価の目標達成(2%未満だがその近辺)が見通せるまで」とされており、事実上オープンエンド、つまりあらかじめ期限を定めない量的緩和となります。

【ポイント2】FRBはガイダンス修正の可能性

利上げの準備を整える見通し
■FRBは現在、金融政策の正常化に向けた議論を進めており、年内の利上げ開始は市場にほぼ織り込まれている状況です。FRBのフォワードガイダンスは、「利上げを開始することに忍耐強く(patient)なれる」というものですが、3月17日、18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)ではこの文言が削除され、利上げの準備が整えられるとの見方が強まっています。

【今後の展開】フォワードガイダンスの修正有無は政策方針に関する重要なシグナル

■日銀とECBは当面ガイダンスを維持
日本では期限内の物価目標達成は難しいとの声も多く聞かれますが、日銀が直ちに現行の政策枠組みを変え、ガイダンスを修正(物価目標値や期限の変更)する可能性は低いと思われます。またECBの量的緩和は3月9日から始まったばかりですので、現在のフォワードガイダンスは当面維持されると思われます。

■FRBはガイダンス修正でも市場に配慮しよう
FRBが「忍耐強く」の文言を削除した場合、利上げ期待が急速に強まり、市場が混乱する恐れがあります。ただFRBは「利上げはデータ次第」、「利上げの検討は会合ごとに行う」などの趣旨をフォワードガイダンスに盛り込むことで早期利上げ観測をけん制し、市場に配慮するのではないかと見られます。

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