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「ドル高」が経済に与える影響(米国)【キーワード】

2015年3月12日

<今日のキーワード>
年明け以降、主要国が相次いで金融緩和に踏み切るなか、米国では年内の利上げ開始が予想されており、金利差拡大の思惑からドルが主要通貨に対して上昇しています。そのため足元ではドル高の進行が、輸出企業の価格競争力低下や、物価の下押し圧力、貿易赤字の拡大などを通じて、米国の株式市場や実体経済に悪影響を及ぼすのではないかとの懸念が強まっています。

【ポイント1】ドル高で懸念される企業業績の悪化やデフレ圧力

株安や成長鈍化につながるのではないかとの懸念
■S&P500種株価指数を構成する企業の海外売上高比率は40%超といわれています。ドル高が急速に進行した場合、輸出企業の価格競争力が低下し、企業業績を圧迫する材料になる恐れがあります。そのため株式市場全体への影響が懸念されます。

■一般にドル高の進行によって、輸入物価が低下した場合、国内物価の押し下げ要因となります。またドル高は、輸出の減少と輸入の増加によって貿易赤字や経常赤字を拡大させる方向に作用すると考えられます。そのため実体経済への悪影響が心配されています。

【ポイント2】過去のドル高局面を検証する

ドルの名目実効為替レート
■名目実効為替レートとは、特定の2通貨間の為替レートだけでは捉えられない相対的な通貨の実力を測るための総合的な指標です。国際決済銀行(BIS)が算出するドルのNarrow indices(27カ国・地域を対象)をみると、①1978年10月から1985年3月まで、②1995年4月から2002年2月まで、過去2回ドル高局面がありました。ドルの名目実効為替レートの上昇率は①が52.9%、②が40.9%でした。

【今後の展開】ドル高の影響を過度に心配する必要はないと思われる

■長期では株式市場への影響は限定的
過去、ドル高によってS&P500種株価指数を構成する企業の業績が影響を受ける場面はみられましたが、米国経済が堅調な場合は、その影響は限定される傾向があります。また長期でみれば、 S&P500種株価指数は①の期間でも②の期間でも大きく上昇しています。

■長期では実体経済への影響も限定的
①、②の期間において、貿易赤字は拡大しましたが、個人消費支出(PCE)物価指数は上昇しました。そして実質GDPを確認してみますと、1978年10-12月期から1985年1-3月期まで16.3%増加し、1995年4-6月期から2002年1-3月期まで26.7%増加しており、成長への影響も限定されています。

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