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「予算教書」は中間層と企業を支援(米国)【キーワード】

2015年2月6日

<今日のキーワード>
「予算教書」は、大統領が議会に示す予算の編成方針のことです。米国では、この「予算教書」の提出を受けて、議会が予算案の作成を行います。「一般教書(上下院への外交・内政情勢等報告および施政方針表明)」、「大統領経済報告(当面の経済情勢に対する判断)」とならび「3大教書」と呼ばれています。

【ポイント1】中間層支援に力点

法人税率を28%に引き下げ、国内での投資・雇用を促す
■オバマ大統領は2日、2016会計年度(2015年10月~2016年9月)の「予算教書」を議会に提出しました。富裕層向けの資産課税や大手金融機関向けの新たな納付金の導入を提案する一方、子育て、教育、医療などへの支援を通じて中間層を手厚くサポートする内容です。

■税制に関しては、連邦法人税の実効税率を現行の35%から28%に引き下げる提案です。また、大企業が米国の高い法人税率を回避するために海外で蓄積する利益について、19%の低率課税とし国内への資金還流を促すことも盛り込まれています。これらにより、米国企業の競争力を高めるとともに、米国内における投資や雇用を促すねらいがあります。

【ポイント2】財政赤字は改善へ

テロの頻発を背景に国防予算は増額
■2016会計年度の財政赤字の対GDP比は、2015年度の3.2%から2.5%に低下する見込みです。歳出が前年度から6%増加するものの、景気回復などから税収が伸びることで歳入は同じく11%増え、財政赤字は金額、対GDP比ともに減る見込みです。さらに医療、税制などの改革により、今後10年間で1.8兆米ドル(約211兆円)の財政赤字を削減するとしています。

■国防省が2日発表した国防予算案では、ここ数年の緊縮財政を反映した抑制的な予算から一転し、前年度比+8%(海外軍事活動などの戦費を除く)の大幅な増加が提案されています。テロの頻発や紛争などの地政学リスクの高まりに応じたものです。

【今後の展開】共和党の反発は必至、2016年の大統領選へ向け駆け引き激化も

■富裕層への課税強化などに共和党は反発
富裕層向けのキャピタルゲイン課税は、現行の税率23.8%を28%に引き上げる提案です。これに対して、上下両院で多数派を占める共和党の反発は必至と見られ、法案化は難航する見込みです。

■2016年の大統領選挙に向け駆け引き激化も
民主党は、次の大統領選までに存在感をいかに高めるかが課題と言えます。オバマ大統領は党利党略を批判してはいるものの、議会で優勢な共和党との交渉をどう進めるか注目されます。

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