ホームマーケット日々のマーケットレポートオバマの「一般教書演説」は好評価(米国)【キーワード】/マーケット情報・レポート - 三井住友DSアセットマネジメント

オバマの「一般教書演説」は好評価(米国)【キーワード】

2015年1月27日

<今日のキーワード>
大統領による「一般教書演説」は、連邦議会に向け、経済、外交など幅広い政策課題や方針について説明する演説です。日本における首相の施政方針演説にあたり例年1月20日前後に行われます。上下両院で共和党優勢のなかでオバマ大統領の任期はあと約2年です。今後の政策運営が2016年の大統領選挙の行方にも影響するとの見方もあり、今回の演説に注目が集まっていました。

【ポイント1】富裕層や銀行への課税強化を提案

格差是正への強い意志を表明
■オバマ大統領は20日、上下両院の合同会議で「一般教書演説」を行いました。冒頭で、2000年代の15年間におけるイラク、アフガニスタンとの戦争、世界的に波及した厳しい景気後退に言及したうえで、「そのページをめくろう」と述べ、新たな展開への期待を訴えました。

■経済については、「一握りのひとが極端に豊かになる経済を容認するのか、それとも努力をしたすべてにチャンスがある経済を目指すのか」と問いかけ、所得格差の是正に向けた強い意志を示しました。具体的には、富裕層向けの資産課税強化や銀行向けの新税などから得る税収を、中間層や貧困層に再配分する内容です。これにより、所得、教育、社会保障への機会の平等を確保する方針です。

【ポイント2】TPP合意を目指す

外交では、武力行使容認決議を要請
■通商政策では、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の合意に向けた意欲を改めて示しました。「我々が通商のルールを作るべきだ」と述べ、公正な競争環境のもとで、米国製品の輸出促進を図る方針です。TPPの進展には、大統領に付される貿易促進権限(TPA)を議会が認めるかがカギと見られ、今後はこれを巡る議会との交渉が焦点となります。

■外交・軍事面では、米国のリーダーシップがテロ組織の前進を止めていると成果をアピールしました。ただし、アフガニスタンでの戦闘終結という実績が評価される中で、再度地上軍の派遣などの事態となれば支持率に影響しかねず、引き続き難しい判断を迫られそうです。

【今後の展開】政策を前進させるには、議会・共和党への譲歩が不可欠

■中間層など支持基盤へ訴え、視聴者は好評価
現地メディアなどによると、今回の演説への視聴者の評価は概ね好意的だったようです。これまでの景気回復とテロへの厳しい姿勢が好評価の背景と見られます。

■2016年の大統領選挙に向け駆け引き激化も
残りの任期でどれだけ大統領・民主党の存在感を示せるかが次の大統領選挙に向けた課題です。富裕層への課税強化などには共和党の反発が予想され、政策前進には議会・共和党への譲歩などによる超党派の合意形成が不可欠と見られます。

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