米国の「年末商戦」は好調 (米国)【キーワード】
2015年1月15日
<今日のキーワード>
米国の「年末商戦」は11月第4木曜日の感謝祭(Thanks Giving Day)から、クリスマス・イブまでの期間を指します。欧米における最大の商業イベントです。米商務省の統計によると、12月の小売売上高は他の月に比べて20%程度多く、米国だけでなく、世界の景気の良し悪しを測る重要なバロメータです。
【ポイント1】売上高の伸び率は、前年を上回る
大手百貨店が軒並み売上高見通しを上方修正
■民間調査機関レッドブックによる既存大型店舗売上高は、2014年11月が前年同月比+4.2%、12月が同+4.0%となり、それぞれ前年の同+3.9%、同+3.6%を上回りました。
■大手百貨店では、J.C.ペニーの売上高が11月・12月合計で前年同期比+3.7%となり、11-1月期に同+2.0%~+4.0%としていた売上高が、見通しの上限近くになるとの見方を示しました。同じく、大手百貨店のメイシーズは、11月・12月合計で前年同期比+2.7%となり、11-1月期の見通しを従来の同+2.0~+3.0%から同+2.5%~+3.0%とし、下限を引き上げました。
■年末商戦は概ね堅調で、小売業の業績も明るい見通しになっています。
※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。
【ポイント2】消費マインド改善が下支え
良好な雇用情勢、エネルギー下落も背景
■堅調な年末商戦の背景には、良好な雇用情勢があると思われます。2014年は概ね月間20万人を超える雇用増となり、賃金は、伸びが緩慢ながら着実に増加しています。
■良好な雇用情勢などから、消費者信頼感指数は2014年12月に92.60と、前年同月の77.54から大きく上昇しました。エネルギー価格下落もあり、消費マインド改善が年末商戦を支えた模様です。
【今後の展開】堅調な消費動向の継続には、雇用の「質」改善が重要
■値下げ幅拡大や衣料品の不振など一部に不安
年末商戦は全般に好調でしたが、感謝祭前には、一部で販売額の伸び悩みを指摘する声も聞こえました。小売店側は、セールの値下げ幅拡大などで対応し、終盤の持ち直しにつなげた模様です。また、値引きの大きかったスマートフォンやテレビなどの影響を受け、衣料関連の売り上げが勢いを欠くなど、不振な業種も見られました。
■雇用の「質」改善が重要
消費に一部で不安材料が残る要因は、賃金の伸び悩みにあると見られます。12月の時間当たり賃金は、前年同月比+1.7%にとどまりました。雇用の増加が比較的低賃金の業種に偏りがちなためと思われます。利上げが年後半と見られるなか、消費が堅調さを維持するためには、賃金の加速や長期失業者の減少など雇用の「質」の改善が重要になりそうです。