今週に迫った「暫定予算」の期限(米国)【キーワード】
2014年12月8日
<今日のキーワード>
米国では、毎年10月から翌年9月までを会計年度として予算が編成されます。与野党協議が難航し、予算が成立しなかった場合には「暫定予算」が編成されることとなります。昨年は債務上限引き上げなどについて与野党の財政協議が難航し、「暫定予算」も成立しないまま9月末を迎えたことから、約18年ぶりに政府機関の一部が閉鎖されました。
【ポイント1】2015会計年度予算案の成立がストップ
オバマ大統領のCO2規制案がきっかけ
■2013年10月、「暫定予算」が成立しなかったことから、政府機関の一部が約2週間にわたって閉鎖される事態となりました。この時の政府機関の一部閉鎖などに対して、米国世論では与野党双方への批判が高まりました。その後、2013年末には、与野党間で予算に関する合意(マリー・ライアン予算案)が成立し、2015会計年度(2014年10月から2015年9月)については大きな混乱なくまとめられる見通しとなっていました。
■今年6月、中間選挙を控えたオバマ大統領は、議会に法案を提出することなく、CO2規制案(米国内の発電所から排出されるCO2を2030年までに2005年比30%削減する)を発表しました。これに対し、共和党が反対姿勢を示したことで、2015会計年度の予算案の審議はストップしました。
【ポイント2】暫定予算の成立期限は12月11日
中間選挙で与党大敗、野党の攻勢強まる
■2015会計年度の予算案がまとまらなかったことから、今年も暫定予算を編成することとなり、この期限が12月11日となっています。暫定予算協議を前にした11月の中間選挙では上下院ともに野党・共和党が過半数を制する結果となりました。今回の選挙を通じては、共和党が支持を高めたというよりは、オバマ大統領による政権運営に「NO」を示した有権者が共和党支持に流れたとの見方が優勢です。共和党が強硬な姿勢を示すことも難しいと見られます。
■しかし中間選挙後、オバマ大統領が移民制度改革に大統領令を発するとしたことに共和党は反発しており、与野党の対立が強まっています。

【今後の展開】2015会計年度予算は成立見込み、来年3月には債務上限期限が迫る
■「暫定予算」は期日までに成立見込み
移民制度改革は今後も駆け引きの材料となりそうです。共和党内では予算協議への対応が進められており、期日までにまとまる見込みです。ただし移民制度改革をめぐる対立が深まる場合には注意が必要です。
■来年3月の債務上限の期限が次の焦点
2015会計年度予算がまとめられた後は、今年2月から引き伸ばされていた債務上限の引き上げ期限が来年3月に迫っています。これについても、今後の予算協議と合わせて与野党協議が難航することも予想されます。
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