【キーワード No.1,355】「米国景気」は年後半の回復に期待(米国)
2014年6月23日
1.「米国景気」の現状は?
米国では、年末年始にかけて大規模な寒波の影響を受け、景気が減速しました。2014年1-3月期のGDP成長率は速報値では前期比年率+0.1%と、前期の同+2.6%から大幅に減速し、さらに5月29日に発表された改定値では同▲1.0%へ下方修正されました。マイナスに転じるのは、2011年1-3月期以来、3年ぶりのことです。
2.最近の動向
米連邦準備制度理事会(FRB)が18日に公表した経済見通しでは、2014年のGDP成長率の見通しが2.1%~2.3%(FRBスタッフ予想の中心レンジ、前回3月見通しは2.8%~3.0%)に引き下げられました。2014年1-3月期の減速が勘案された結果です。ただし、2015年は3.0%~3.2%、2016年は2.5%~3.0%にそれぞれ据え置かれました。
また16日には、国際通貨基金(IMF)が米国の2014年のGDP成長率見通しを発表し、2.8%から2.0%に引き下げました。こちらも2014年1-3月期の減速が下方修正の主な理由となっています。

3.今後の展開
今月25日に発表が予定されている2014年1-3月期GDP成長率の確報値では、改定値からさらに下方修正されることが見込まれています。速報段階で堅調だった個人消費が、医療費を中心に大幅に下方修正されていることが影響すると考えられます。このため、米国の2014年の成長率は当初想定されたものよりも低くなると思われますが、FRB、IMFのいずれの見通しでも2016年以降は3%程度の成長に回復することが見込まれています。
米国の雇用統計では、非農業部門雇用者数が5月まで4カ月連続で20万人超となり、失業率も6.3%まで低下してきています。長期失業者の多さや賃金上昇率の緩慢さなどが指摘されていますが、これも着実に改善しつつあります。また米国のISM指数など企業景況感をみると、現状、先行きともに堅調に推移しています。このほか、住宅市場の回復が一部緩慢ではあるものの、経済指標の多くは年末年始の減速からの改善が見られており、米国経済は年後半に向けてさらに堅調さを増すことが期待されます。