【キーワード No.1,290】フォワード・ガイダンスを変更か、注目のFOMC(米国)
2014年3月18日
1.フォワード・ガイダンスとは?
米連邦準備制度理事会(FRB)は2012年12月、従来からのゼロ金利政策を維持したことに加え、将来の金融政策の方針を前もって告知する「フォワード・ガイダンス」を導入しました。景気支援などのため、インフレ率が2.5%を上回らない限り、失業率が6.5%に低下するまでゼロ金利政策を続けるという内容です。しかし、その後失業率が低下(今年2月6.7%)する一方、長期失業者の多さなど雇用の質的な改善が緩慢なことを踏まえ、FRBは昨年12月に、インフレ率が2%を下回る場合は失業率が6.5%を下回った後もゼロ金利政策を続けることが適切と、ガイダンスを変更しました。市場では、本日から2日間にわたって開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)に向け、ゼロ金利政策の解除時期や目安を含む更なるガイダンスの変更について、FRB高官がどのような見解を示すか注目されています。
2.最近の動向
3月13日、FRBの副議長に指名されているフィッシャー氏が米上院で議会証言を行いました。同氏は、イスラエル中銀総裁時代に2008年の金融危機を乗り切った実績や米金融当局に太い人脈を持つことなどから、今後のFRBの金融政策や市場に対し、大きな影響力を持つと言われています。
同氏は議会証言で、失業率はまだ高く、インフレ率はFRBの目標の年2%を当面下回るとの見解を示しました。金融政策については、量的金融緩和策の縮小を続けるなかでも、雇用の最大化と物価安定に向けて、拡張的な金融政策の継続が必要としました。フォワード・ガイダンスに関する言及はなかったものの、金融緩和策を支持する姿勢を明確に示しました。
3.今後の展開
前回1月28日~29日のFOMC議事録では、会合の参加者がフォワード・ガイダンスの内容を近いうちに変更することが適切との考えで合意したことが示されています。議事録や最近のイエレン議長の議会証言などでは、緩慢な物価上昇への警戒感が示されており、フォワード・ガイダンスに物価関連の経済指標が加わる可能性があります。一方で、議事録では、数値基準ではなく定性的な判断基準を設けることを望む参加者もいることが示されています。本日からのFOMCでは、フォワード・ガイダンスについて変更があるか、物価などの指標が追加されるかなどに注目です。