ホームマーケット日々のマーケットレポート【キーワード No.1,259】バーナンキ議長、最終日(米国)/マーケット情報・レポート - 三井住友DSアセットマネジメント

【キーワード No.1,259】バーナンキ議長、最終日(米国)

2014年1月31日

1.バーナンキ議長の経歴

 ベン・S・バーナンキ氏は、1953年12月、米国ジョージア州オーガスタに生まれました。1975年にハーバード大学卒業、1979年にマサチューセッツ工科大学で博士号取得後、スタンフォード大学、プリンストン大学で教鞭をとりました。1987年以降はフィラデルフィア、ボストン、ニューヨークの各連銀の客員研究員などを、2002年から2005年にFRBの理事を、2005年から2006年に大統領経済諮問委員会の委員長などを務めた後、ブッシュ前大統領に指名を受け、2006年2月1日からFRB議長に就任しました。

2.最近の動向

 バーナンキ議長が就任した後の米国経済は、大きく変動しました。住宅バブルとその崩壊を経て、リーマン・ショックにより景気後退に陥りました。これに対しFRBは利下げを実施し、2007年9月から2008年12月までに、政策金利は5.25%から0~0.25%(実質ゼロ金利)へと引き下げられました。また、ゼロ金利としただけではなく、米国債や不動産担保証券(MBS)を買入れる量的緩和(QE)政策を導入し、断続的に3度実施しました。バーナンキ氏は、FRB議長就任前には、デフレを克服するためにはヘリコプターからお金をばら撒けばよいといった発言をし、「ヘリコプター・ベン」とも呼ばれていました。市場に資金を大量に供給する量的金融緩和政策はバーナンキ議長の代名詞となったとも言えます。
 これらの結果として米国経済は、財政の崖などの財政問題が懸念される局面はあったものの、住宅市場をはじめ順調に回復を続けました。景気回復を受け、昨年5月にはバーナンキ議長がQE3の縮小を開始させる可能性について言及したことから、QE3縮小の市場に与える影響の大きさが改めて認識されました。

3.今後の展開

 昨年12月、FRBはQE3の縮小を決定し、資産購入は月額850億米ドルから750億米ドルへと減額されました。今年に入り米国経済の回復やQE3縮小の一方、新興国ではいくつかの国で政情不安が見られるなか、アルゼンチンペソの大幅下落をきっかけに、新興国通貨が一段安となりました。そうしたなか、注目された今月のFOMCでは資産購入はさらに減額(750億米ドル→650億米ドル)されました。米国経済を回復へ導いたQEを導入し、またその出口に向かうまでの舵取りを行ったバーナンキ議長は今日で任期満了となりますが、2020年1月末まで引き続き理事の権利を有しています。明日からのイエレン新体制下ではどのような存在感を見せるのか、今後も注目です。

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