【キーワード No.1,254】FRBの新体制、副議長に重鎮フィッシャー氏を指名(米国)
2014年1月24日
1.FRBの新体制とは?
今年に入って、次期FRB議長となるジャネット・イエレン氏の議会承認が終わり、そのほか任期を満了する理事などについても、大統領指名がありました。2月以降のFOMCで議決権を持つメンバーは、以下の表のようにまとめられます。イエレン氏以外で最も注目される人事は、副議長の指名を受けている元・イスラエル中銀総裁のフィッシャー氏(議会承認を経て就任へ)です。
2.最近の動向
同氏は2005年~2013年までイスラエル中銀総裁を務めました。金融緩和とドル買い介入などで、金融危機を乗り切った実績は、高く評価されています。
それ以前にもIMF筆頭副専務理事として新興国の通貨危機に対処した経歴を持ち、危機管理能力が今回の指名につながった大きな理由と見られます。
同氏は学者時代に、バーナンキ現議長やドラギECB総裁を相手に教鞭を取ったこともある金融界の重鎮であり、その発言力が地区連銀総裁や一般の理事を大きく上回ることは確実視されています。
同氏の政治姿勢は、雇用を重視するハト派のイエレン氏に対して、市場の安定感を重視するより中立的なもの、との指摘も聞かれます。
3.今後の展開
2013年と比べると、中立的なフィッシャー氏を副総裁に迎える予定であるだけでなく、議決権のある地区連銀総裁のなかにも、従来からタカ派(金融政策の正常化を重視)だったメンバーが増えました。また、今年に入ってからイエレン氏は、FOMCメンバーの大半は2014年の成長率が3%台になることを希望していると発言しています。今後、景気次第でタカ派へ傾くメンバーが増えることも想定されます。
市場では、米国景気の見通しが最近上向くなか、QE3は粛々と縮小されて、年内には終了するとの見方が大勢です。今後の焦点は利上げの時期に移りそうですが、雇用や物価の動向から、利上げは2015年後半以降との見方が大勢です。金利が一段と上昇する圧力は当面は限定的に留まると見られ、市場参加者は2月以降の新体制がどのように市場と対話するか、じっくり見定めていくものと思われます。