【キーワード No.1,246】今年も着実な改善が期待される雇用環境(米国)
2014年1月14日
1.米国で最も注目される経済指標は?
近年は、米労働省が発表する「雇用統計」が世界の注目を集めています。毎月第1金曜日に発表され、発表された統計内容によって市場が大きく動くことも頻繁にあります。「雇用統計」における中心的な指標には、完全失業率、非農業部門雇用者数の増減状況などがあります。
2.景気底打ち後の動き
完全失業率は、景気が底を打って回復に転じた3カ月後の2009年10月に10.0%を付けました。それ以降は低下に転じ、2010~2013年の12月値はそれぞれ9.3%、8.5%、7.8%、6.7%と着実に低下し、ついに7%を割り込みました。毎月の発表数値に市場は揺れましたが、実際にはほぼ一直線に低下してきた印象があります。また、非農業部門雇用者数は、リーマン・ショックの1年半後の2010年3月から増加に転じ、2010年10月以降、39カ月連続で増加しています。この間、月当たり平均増加数は18万人、最小は7万人、最大は33万人です。こちらも、ほぼコンスタントに増加してきたといってよいでしょう。非農業部門雇用者数は前回の景気後退期(2007年12月~2009年6月)前後で874万人減少しましたが、増加に転じてからは756万人増加しており、87%程度まで回復してきました。
3.今後の展開
2014年の雇用環境は過去4年間と同様、コンスタントに改善していくことが期待されます。量的緩和策の縮小が始まりますが、むしろ、これまでの積極的な金融・財政政策が奏功し、景気はやや加速する方向で推移することが予想されます。米国景気に対しては、2月から米連邦準備制度理事会(FRB)議長に就任するイエレン氏も「2%よりは3%」に近い成長を達成することを期待していると、雑誌とのインタビューで語っています。現在の雇用環境の改善ペースが維持されれば、完全失業率は2014年末には6%台前半、非農業部門雇用者数は、年間で200万人以上増加し、過去最大を更新してくることが十分に期待されます。