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財政再建目指す「2016年予算案」(ブラジル)【キーワード】

2015年12月14日

<今日のキーワード>
ブラジルの財政は、景気後退による税収減などにより収支が悪化しています。政府は2015年の財政計画をGDP比0.9%の赤字(利払いを除くプライマリー収支、以下同様)と悪化方向に修正し、関連法案が12月2日に議会で承認されました。引き続き「2016年予算案」の成立が待たれますが、緊縮財政への反対、汚職問題、大統領の辞任を求める動きなどから国会審議はこう着しており、年内に成立するか不透明な状況です。

【ポイント1】「2016年予算案」は、財政収支を黒字に戻す計画

緊縮財政への反対や政府内の亀裂などから年内の成立が危ぶまれる
■政府は、「2016年予算案」で財政収支を黒字(GDP比0.7%)に戻す計画です。ルセフ大統領はレビ財務相とともに増税や歳出削減を通じて財政再建に取り組んでいますが、景気下押し懸念などから両氏の辞任を求める議会内外の動きが活発化しており、財政再建路線に黄信号が灯っています。

■与党連合を組むブラジル民主運動党(PMDB)党首のテメル副大統領とルセフ大統領の不協和音も報道され、議会運営が不透明となっています。テメル副大統領が政府と議会との調整役を務めてきたことから、「2016年予算案」の審議がこう着して年内に成立しない可能性が高まっています。

【ポイント2】国債の格下げ懸念強まる

ムーディーズが格下げ検討を発表
■大手格付け会社ムーディーズは12月9日、ブラジル国債の格付け(Baa3、BBB-に相当)につい て、引き下げ方向で検討に入ることを発表しました。

■9月に大手格付け会社S&PがBB+に格下げしていることから、大手2社が揃って非投資適格級の格 付けになると、ブラジル国債からの資金逃避に拍車がかかり、レアルが一段と下落する恐れがあります。これを避けるためにも、政府は「2016年予算案」を成立させて財政再建をアピールしたいところです。

【今後の展開】政府は財政再建を、中銀は物価抑制を最優先、レアル安定に期待

議会での「2016年予算案」審議進展に注目
「2016年予算案」は、下院の予算委員会の承認を経て、本会議での審議の進展が注目されます。成立が遅延すると年明け以降に政府業務の一部が遅れるとの懸念があり、年内の成立が望まれています。

政府・中銀の政策によるレアル安定に期待
政府が財政再建に取り組むなか、ブラジル中央銀行は物価抑制に向け利上げも辞さない姿勢です。政府と中銀の政策により財政や物価への不安が解消され、レアルの安定化につながることが期待されます。

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