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「ブラジルの物価」が安定の兆し(ブラジル)【キーワード】

2015年7月13日

<今日のキーワード>
ブラジル統計局(IBGE)が8日に発表した6月の消費者物価指数は、前年同月比+8.9%と、2014年12月の同+6.4%を直近の底に6カ月連続の上昇となり、ブラジル中央銀行(以下、中銀)の物価目標(2016年まで、年+4.5%、±2.0%)の上限(年+6.5%)を超えた状況が続いています。ただし、内訳を見ると、財の価格の落ち着きなど、「ブラジルの物価」に安定の兆しも見られます。

【ポイント1】公共料金値上げが物価を押し上げ

公的部門の財政再建が背景
■6月の消費者物価指数の内訳を見ると、住宅(全体の14.3%)が前年同月比+17.9%と大幅に上昇し、全体を押し上げる主な要因になりました。そのなかでも、家庭向け電力料金は同+58.4%となりました。政府が電力会社への補助金を削減し、値上げを認めたことが背景です。公的部門が財政再建のため公共料金を引き上げ、物価が押し上げられる傾向になっています。

【ポイント2】中銀は利上げ継続の見込み

財の価格が比較的落ち着いた推移
■その他の分野では、教育やサービス等の価格が高めの伸びになっていますが、衣料品や家庭用品など財の価格は比較的落ち着いています。中銀の利上げが需要を抑え、価格の安定につながっていると見られます。

■中銀は昨年10月から今年6月まで、6会合連続で政策金利を引き上げ、13.75%としています。ギリシャ懸念や中国の株価下落などによりレアル安が進んだこともあり、市場では、中銀が一段の物価抑制効果を狙い、次回会合(7月28日~29日)でも利上げを続けると見られています。

【今後の展開】中銀の物価抑制に向けた取り組みで物価は落ち着く見込み

■2017年の物価目標レンジを狭め上限を引き下げ
中銀は6月25日、2017年の物価目標の幅を上下0.5%ずつ縮小させ、3.0%~6.0%(中心の+4.5%は変更なし)にすることを発表しました。市場では、中銀の「物価抑制」に向けた強い姿勢が反映されたと受け止められました。

■市場の物価見通しに落ち着きの兆し
中銀が7月6日に発表したエコノミストを対象とした調査結果によると、2016年末の消費者物価上昇率の予想は年+5.45%と前週の同+5.50%から8週間ぶりに低下しました。中銀の物価安定に向けた取り組みが物価見通しを押し下げたと見られ、今後は実際の物価の落ち着きが期待されます。

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