第2次ルセフ政権の「財政再建」(ブラジル)【キーワード】
2014年12月3日
<今日のキーワード>
ルセフ大統領は、来年1月から2期目を迎えます。再選を決めた10月の大統領選挙で苦戦を強いられた背景には、1期目(2011年から4年間)の経済政策に対する国民の不満がありました。最低賃金引き上げなどで消費のてこ入れを図ったものの、インフレをもたらしました。その後の金融引き締めで景気は低迷し、景気対策による支出増で財政が悪化、市場の評価は低いものでした。
新財務相指名で経済政策を刷新
経験豊富なレビ氏に期待
■経済政策を刷新する取り組みの中心として、財務相の人事が注目されていました。ルセフ大統領は11月27日、ジョアキン・レビ氏を次期財務相として指名しました。
■同氏はシカゴ大学で経済学を学び、国際通貨基金(IMF)、欧州中央銀行(ECB)、ブラジル財務省などで経済の分析や政策の立案などに従事した経験があります。直近は国内の大手資産運用会社の社長を務めていました。市場では、財政再建や物価抑制を優先して、中長期的な経済の安定成長を目指すとの期待が高まっています。
財政再建に積極的な姿勢
市場は財政目標を評価
■レビ氏は財務相への指名受諾に当たりスピーチを行い、財政再建に積極的に取り組む姿勢を明らかにしました。具体的な目標としては、利払いを除く財政収支の黒字を2016年までに名目GDP比2.0%以上とすることを挙げました。
■財政収支の数値目標は大胆な改善を目指すものではないものの、基準の透明性を高める姿勢も示されたことなどから、市場では現実的で信頼できると好意的に受け止められたようです。
財政再建で国債利回りの低下、中長期的な成長率の向上に期待
■財政面からの短期的な景気下支えは期待薄
レビ氏は特定品目への消費支援策などを避け、政策の透明性を重視すると見られます。一方、財政面からの短期的な景気下支えは期待しづらい状況です。
■中長期的な経済成長率の引き上げに期待
レビ新財務相を中心とした第2次ルセフ政権の経済政策は、政府財政への信任を高め、国債利回りの低下につながりそうです。投資資金の流入が増えることで、中長期的に経済成長率が向上することが期待されます。