大統領選決選投票の結果(ブラジル)【キーワード】
2014年10月27日
<今日のキーワード>
現職のルセフ大統領の任期満了(4年間、2011年1月に就任)に伴う大統領選挙は、26日に決選投票が実施されました。候補者は、10月5日の第1回投票を得票率トップ(41.6%)で通過したルセフ氏と、2位(33.6%)のブラジル社会民主党(PSDB)のネーベス氏の2名に絞られ、世論調査の支持率が投票日直前までほぼ互角となるなど、接戦になっていました。
【ポイント1】僅差でルセフ氏の再選が決定
ルーラ前大統領以来の所得格差是正策などを評価
■報道によると、開票率99%の時点でルセフ氏が有効投票の52%を獲得、48%のネーベス氏を下して勝利を確実としました。ルセフ氏は2015年1月1日より任期4年の2期目に入ります。
■ルセフ氏は、同じ労働者党(PT)出身のルーラ前大統領の政策を引き継ぎ、最低賃金の引き上げなどを通じた所得格差是正策を続けてきました。今回の選挙では低所得者層をはじめとした根強い支持を背景に、景気低迷などに対する政府批判票を集めたネーベス氏を僅差で下しました。
【ポイント2】経済運営への信任回復が急務
財務相人事などが焦点に
■ブラジルでは、政治腐敗や公共サービスへの不満などから2013年6月頃に全国規模のデモやストライキが発生し、ルセフ政権の支持率が低下しました。経済構造改革の目玉とされていた大型投資案件が滞り改革の進展が足踏みした一方、為替政策や特定業種に対する優遇税制の頻繁な変更など、場当たり的な政策が目立っていました。
■ルセフ大統領は2期目を迎えるに当たり、経済政策の迷走を導いたとされるマンテガ財務相の更迭を表明しています。低成長と物価高という難しい経済情勢のなか、経済運営への信任回復が急務であり、目先は後継の財務相人事などに市場の注目が集まりそうです。

【今後の展開】ルセフ政権2期目のインフラ整備再開などに期待
■ルセフ氏再選は、短期的な市場の波乱要因に
世論調査が投票直前まで接戦を示していたため、ネーベス氏による経済政策刷新期待が剥落する形でブラジル市場は短期的に波乱含みの展開になりそうです。
■インフラ整備などを通じた投資活性化に期待
市場では、ネーベス氏の掲げた物価目標の重視、税制の透明性や公平性の向上、財政赤字削減などの政策が評価されていました。2期目のルセフ政権は、こうした考えを参考に、滞りがちだったインフラ整備の再開や、政治・経済構造改革に取り組むことが期待されます。