ホームマーケット日々のマーケットレポート【キーワード No.1,370】ワールドカップ後のブラジルの経済・政治は?(ブラジル)/マーケット情報・レポート - 三井住友DSアセットマネジメント

【キーワード No.1,370】ワールドカップ後のブラジルの経済・政治は?(ブラジル)

2014年7月14日

1.サッカー・ワールドカップを巡る混乱は?

 ブラジルでは、サッカー・ワールドカップが6月12日から約1カ月にわたり開催されました。事前には、道路や空港などのインフラ整備の遅れや、巨費を投じた政府などを批判するストライキやデモが懸念されましたが、開催期間中は大会運営や社会情勢を巡る批判報道は特に目立たず、13日に閉幕を迎えました。
 民間調査会社Datafolhaによる調査(実施日7月1日~2日)では、ワールドカップへの支持率が63%と、開催前(同6月3日~5日)の51%から大きく伸びており、開催中に国民の印象は改善した模様です。

2.最近の動向

 同調査では、10月の大統領選挙に向けた世論調査も、同時に実施されています。ルセフ大統領の支持率は7月に38%と、引き続き野党からの対抗馬を上回り、前回6月の34%から上昇しました。調査期間中はワールドカップで同国のチームが勝ち上がっていた最中であり、支持率にプラスになった可能性があります。
 ただしその後、8日の準決勝で同国チームはドイツチームと対戦し、1対7の大差で敗れました。試合後にバスへの放火などの暴動が発生したとの報道などがあり、国民の不満が大統領に向かう可能性を指摘する見方があります。

3.今後の展開

 6月の消費者物価指数は前年同月比+6.52%となり、昨年6月以来1年ぶりに、ブラジル中央銀行の物価目標レンジ(年+2.5%~+6.5%)の上限を超えました。内訳を見ると、航空運賃や宿泊費などが大幅に上昇しており、サッカー・ワールドカップの開催が物価高につながったと見られます。大規模なイベントの終了後はある程度沈静化が見込まれるものの、景気の低迷と物価の高止まりに国民の注目が再び集まり、現政権への批判が強まる可能性があります。
 こうしたことを背景に、大規模な反政府デモやストライキが発生すると、投資家の心理を冷やす要因になると思われます。一方、これまでのところ、政権交代観測が株価やブラジルレアルの上昇要因になる展開が見られました。10月の大統領選挙を控え、ブラジルでは景気や物価などの経済指標、同選挙を巡る世論調査などが、複雑に市場に影響を及ぼす展開となる可能性もあります。

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