ホームマーケット日々のマーケットレポート【キーワード No.1,307】ルセフ大統領の再選には景気とインフレがカギ(ブラジル)/マーケット情報・レポート - 三井住友DSアセットマネジメント

【キーワード No.1,307】ルセフ大統領の再選には景気とインフレがカギ(ブラジル)

2014年4月11日

1.ブラジルの大統領選挙とは?

 ブラジルでは、ジルマ・ルセフ大統領の任期満了(4年間、今年12月末)に伴う大統領選挙が10月に予定されています。大統領選挙では、第1回目の投票で過半数の得票者がいない場合には、上位2名で決選投票が行われます。前回2010年の選挙では、決選投票で労働者党のルセフ氏とブラジル社会民主党のセーラ氏の対決となり、ルセフ氏が国民の所得水準引き上げなどで人気の高かったルーラ前大統領からの支持などを背景に初当選しました。ルセフ氏は、2期目に向けて出馬する意向です。

2.最近の動向

 ルセフ大統領は2011年に就任後、前政権の国民の所得水準引き上げ方針を引き継ぐとともに国際競争力の強化を目指し、インフラの整備などを進めてきました。しかし、長引く低成長と高インフレ、交通、医療、教育などの公共サービス改善の遅れなどから、現政権への不満が強まっています。
 ルセフ政権への支持率は、昨年6月頃に一時激化した反政府デモやストライキの動きなどを受けて大幅に低下し、足元でも低迷しています。ルセフ氏への支持率は野党の候補者を上回っていますが、景気やインフレへの懸念などから、選挙戦が接戦になるとの見方が出ています。

3.今後の展開

 3月の消費者物価指数は前年同月比+6.15%(前月は同+5.68%)と、ブラジル中央銀行(以下、中銀)の物価目標(年+2.5%~+6.5%)の上限に近付きました。中銀はインフレ抑制を重視した金融引き締め姿勢を続けてきましたが、インフレの低下にはまだつながっていません。高金利が経済成長を抑える懸念もあり、足元では経済情勢の改善によるルセフ政権への支持率の大幅な上昇は期待しづらい状況です。
 ただし、政府は2月に2014年の修正予算案を発表し、歳出削減などを通じて財政再建に取り組む一方、公共投資を大幅に拡大して景気の下支えを図っています。また、中銀は昨年4月以降約1年にわたり利上げを続けており、利上げ幅は合計3.75%(現在の政策金利は11.00%)に達しています。ルセフ大統領の再選は、選挙までの約半年の間に政府・中銀の政策効果が表れ、景気やインフレに改善の兆しが見えるかがカギとなりそうです。

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