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「オフィスビル空室率」の低下が足踏み(日本) 【キーワード】

2017年2月14日

<今日のキーワード>
「オフィスビル空室率」は、オフィスビル仲介大手の三鬼商事が、毎月中旬頃にホームページに公表しています。空室率のほか、オフィスビルの平均賃料や棟数なども公表されており、オフィスビル市場を見る上で有益です。札幌、仙台、東京、横浜、名古屋、大阪、福岡の7つのビジネス地区について、新築、既存ビルに分けられたデータとなっています。

【ポイント1】1月の都心5区の空室率は3.74%

大型ビル3棟を含む7棟の新築ビルが竣工

■2月9日に発表された三鬼商事の都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)の1月の「オフィスビル空室率」は、前月比+0.13ポイントの3.74%となりました。空室率は、2016年7月に約8年ぶりに3%台まで低下しましたが、9月以降3.6~3.7%台で足踏みしています。

■1月は、大型解約の動きは少なかった一方、大型ビルを含む新規の供給があったことから、空室面積が増加しました。新築ビルは大型ビル3棟を含む7棟が竣工しましたが、募集面積を残しているビルがあったため、空室率の上昇に繋がりました。既存ビルでは、空室率は引き続き低下傾向にあります。

【ポイント2】平均賃料は37カ月連続の上昇

千代田区では7年ぶりに2万円台へ

■また、1月の都心5区の平均賃料は、坪当たり18,582円でした。前年同月比+4.45%、前月比+0.23%と、小幅ながら37カ月連続の上昇となっています。

■既存ビルでは前月比▲0.07%でしたが、新築ビルでは同+2.06%と上昇したため、全体での賃料上昇となりました。都心5 区のなかでも最も平均賃料が高い渋谷区(20,150円)では同▲1.06%となりましたが、千代田区では同+0.49%の20,088円と、2010年1月以来7年ぶりに2万円台に上昇しました。

【今後の展開】年内の大型ビル供給は限定的、空室率は低水準が続く見込み

■1月は複数の新規ビルが空室を抱えて竣工したため空室率は上昇しましたが、2017年内に供給される大型ビルは限定的と見られていることから、空室率は当面現在の低水準で推移すると見込まれます。

■こうした空室率の低下や賃料の上昇は、オフィスビルに特化したものが多い日本のリート市場には追い風です。また日本では当面金融緩和が続き、長期金利が低水準で推移すると見られ、日本のリート市場にはプラスと考えられます。

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