「参議院選挙」の焦点はアベノミクス(日本) 【キーワード】
2016年7月1日
<今日のキーワード>
第24回参議院選挙は6月22日に公示、7月10日投開票の日程で、選挙戦が本格的に始まりました。今回の参議院選挙における有権者の関心は、主に社会保障と経済政策と言われており、焦点は「アベノミクス」を推進させるのか、後退させるのかの「選択」と考えることもできます。
【ポイント1】与党が優勢
野党では共産党の支持が上昇
■6月24日に主要各紙が行った世論調査によれば、与党が改選数(121議席)の過半数を超える勢い、などと報じられ、総じて与党が優勢との内容となっています。対する野党では、共産党などの支持率が上昇しています。選挙戦序盤での報道は、その後の人々の投票行動や選挙の趨勢に影響を与え、結果が事前予想と異なる、というケースはあります。与党が優勢と報じられれば、与党の行き過ぎた大勝を警戒した浮動票が野党へ流れ、与党が苦戦する可能性もあります。
【ポイント2】参議院選挙の争点はアベノミクス
有権者の関心は社会保障と経済政策
■有権者の関心は、主に社会保障と経済政策と言われています。自民党は公約として「アベノミクスの推進による成長と分配の好循環」、「保育の受け皿50万人分増、保育士の処遇改善」を掲げています。一方、野党第1党の民進党の公約は「格差是正へ分配と成長」、「保育士の月給5万円引き上げ」です。両党の公約に大きな差異を見出すことは難しいと思われます。結局、有権者は、もう1つの争点である、自民党を批判する「民・共の共闘」に対する評価や「憲法改正」に対する考え方で投票せざるを得なくなりそうです。

【今後の展開】経済対策が拡大する可能性も
■世論調査の通り与党が勝利した場合は、秋の経済対策の規模が拡大する可能性があります。真水で5兆円(事業規模10兆円)程度と考えられましたが、英国が欧州連合(EU)離脱「Brexit」を決断したことによる先行き不透明感の強まりを踏まえると、真水で7.5~10兆円の規模に近づくかもしれません。
■6月28日の経済財政諮問会議において、安倍首相は「Brexit」による実体経済への影響を議論する中で、特に国内中小企業への悪影響に懸念を表明しました。リーマンショック後の経済対策では、26.9兆円の事業規模に対し21.8兆円が中小企業向けの信用保証枠の拡大に充てられ、真水は5兆円弱でした。今回も真水そのものは5兆円程度に留められる可能性はあります。与党がどのような経済対策を打ち出すのか、大いに注目が集まりそうです。