「18歳選挙権」と参議院選挙(日本) 【キーワード】
2016年6月9日
<今日のキーワード>
参議院選挙が6月22日に公示、7月10日に投票の予定です。参議院の半数の121議席(選挙区73議席、比例区48議席)が改選の対象となります。今回の選挙では、公職選挙法の改正により選挙区で10増10減が実施され東京都や愛知県などの定数が増加し、宮城県、新潟県、長野県などで定数が減少します。また、最大のポイントとして、「選挙権年齢」が20歳から18歳に引き下げられる初めての国政選挙となります。
【ポイント1】世界的には「選挙権年齢」は18歳からが主流
日本はむしろ例外、欧州では16歳への引き下げが行われている
■戦後、選挙権は20歳以上と定められ、成人と選挙権がセットになっているという意識が日本では定着してきました。今回の改正で、18歳以上に選挙権が与えられる、つまり高校3年生で誕生日が来た生徒が選挙権を行使するということになります。
■ただし、世界的に見ると、各国の「選挙権年齢」は9割以上の国・地域で18歳以上と定めてられています。さらに欧州では、オーストリアがすでに16歳へ「選挙権年齢」を引き下げたほか、ドイツやノルウェーなどでも特定の州や地域では16歳への引き下げが行なわれています。
【ポイント2】「選挙権年齢」をなぜ引き下げるの
若者の力を社会・政治が必要としている
■日本は少子高齢化、人口減少社会を迎えています。この状況において、日本の将来を担う存在である10代の若者がより早く選挙権を持つことにより、社会の担い手であるという意識を持ってもらいたいというのが、法改正の主旨です。
■若者の投票率が低くなると、若者の声は政治に届きづらくなります。その結果、若者に向けた政策が実現しにくくなってしまう可能性が出てきます。

【今後の展開】若年層の投票率上昇が課題
■選挙結果への影響は大きくない模様
今回の18歳への「選挙権年齢」引き下げで、有権者数は新たに240万人程度増加する見込みです。これは従来の有権者約1億人に対し、2%強程度にしかすぎません。また残念ながら若年者ほど投票率が低い傾向が顕著であるため、「選挙権年齢」の引き下げが、選挙結果に与える影響はさほど大きくないのでは、との見方が多い模様です。
■20歳代の投票率は60歳代の半分以下
2014年の衆議院選挙の年代別投票率で見ると、60歳代がトップで68.3%でした。これに対し20歳代は世代別では最低で32.6%と60歳代の半分以下にとどまりました。この結果、人口比では60歳代が20歳代の1.4倍でしたが、投票数では実に3倍程度の差になっています。政治に自分の声が届かないと言う前に、若年層の投票率上昇が切に望まれます。