「法人企業統計」、設備投資は増勢(日本) 【キーワード】
2016年6月2日
<今日のキーワード>
「法人企業統計」は、国内企業約2万2,900社(うち金融・保険業以外は約1万9,300社)の財務諸表を集計した統計です。四半期毎に実施される「四半期別調査」と、年に一度実施される「年次別調査」があり、財務省が発表しています。この統計により、国内企業の売上高や利益の増減、バランスシート(貸借対照表)の現状、設備投資などを把握することができます。
【ポイント1】設備投資は12四半期連続で増勢を維持
伸び率は鈍化
■財務省は1日、2016年1-3月期の「法人企業統計」を発表しました。全産業(金融・保険業除く)の設備投資の伸び率は前年同期比+4.2%と、15年7-9月期の同+11.2%をピークに低下しましたが、12四半期連続の増加となりました。業種別では、製造業が同+6.7%、非製造業は同+2.9%といずれも15年10-12月期より鈍化しました。
■今回の「法人企業統計」を受けて改定される1-3月期GDP統計の2次速報値では、民間設備投資は1次速報値の前期比▲1.4%からマイナス幅が縮小する見込みです。
【ポイント2】減収減益傾向が続く
原油価格下落などが影響
■全産業(金融・保険業除く)の売上高は、前年同期比▲3.3%と2四半期連続で減少しました。製造業は石油・石炭、鉄鋼などの減収から同▲2.2%、非製造業は卸売業、小売業の減収などから同▲3.8%となりました。
■経常利益は前年同期比▲9.3%と、前期よりもマイナス幅が拡大しました。製造業が20%超の減益であることに加え、非製造業が同▲4.5%と減益に転じたことが影響しました。

【今後の展開】年後半に向けて企業収益は改善の見込み
■設備投資は増勢を続けていますが、今後は企業業績次第と見られます。外部環境は、原油価格が40ドル台で推移し、米国経済にも明るさが増すなど、落ち着き始めました。これに伴い、円/米ドルレートも円高リスクが低下していると言えそうです。日本経済も年後半に経済対策が打ち出されることで、景気の回復も見込まれることから、企業業績の改善が期待されます。