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市場の注目を集める「G7」伊勢志摩サミット 【キーワード】

2016年5月11日

<今日のキーワード>
先進国首脳会議は、1975年11月から日米英仏独(当時は西独)伊の6ヵ国で始まり、76年にカナダを加え、「G7」となりました。冷戦終結後、ロシアが参加し主要国首脳会議「G8」となりましたが、2014年のロシアによるクリミア併合を受けロシアは参加停止、現在では再び「G7」に戻っています。今年は5月26日~27日に伊勢志摩で開催されます。ここもとの円高・株安を受け、日本政府のかじ取りに注目が集まっています。

【ポイント1】力強さを欠く景気、円高も株価の逆風に

日本株式市場は出遅れ感が目立っている

■2014年4月の消費税引き上げ以降、日本経済は期待を下回っています。勤労者世帯の収入が伸びている一方、食品価格の上昇や社会保障費の増加等により実質購買力が抑制されたこともあり、消費が低迷しています。海外経済も低調で、輸出も力強さを欠いている状況です。景気の弱さは企業業績の重石になります。また、今年に入っての円高は、輸出企業が多い日本企業にとっては追加的な業績下押し要因です。

■日本株式市場は、昨秋以降軟調に推移していますが、他の株式市場と比較して出遅れ感が目立っています。この背景には国内経済の低調さと円高の進行があります。

【ポイント2】「G7」で財政・金融政策のお墨付きを得たい日本

財政出動の規模がポイント

■政府・日銀による財政・金融両面の景気対策が期待されていますが、財政出動がどの程度の規模になるかがポイントです。2月の「G20」以降、主要国は自国通貨安につながる金融緩和への過度の依存は控えるとの見方が投資家の間で定着しています。日本は、「G7」を通じて、財政出動が十分であるとのお墨付きを得られれば、金融緩和が行いやすくなります。

■景気と為替見通しが好転すれば、株価の面でも好材料です。この点で「G7」伊勢志摩サミットは重要と言えます。

【今後の展開】政策協調:満点以上、 財政・金融政策のお墨付き:合格点

■政策協調は慎重に見るべきか
「G7」伊勢志摩サミットで、財政出動への政策協調が出来れば、世界経済や株式にとっては追い風になります。ただし、この点については慎重に見る必要があります。主要国間で景況感に大きな差があるため、一致して追加的な財政支出を行う合意形成に至るには障害が多いと見られるためです。

■議長国としての指導力の発揮に期待
経済以外にも企業や富裕層の課税逃れ対策や、テロ対策などの議題が考えられます。このため、「G7」で日本政府が出来るのは、日本経済の立て直しを行うために十分な規模の財政政策とそれを前提とした金融政策を行うことの了解を得ることと見られます。議長国としての指導力の発揮が求められます。

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