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東北が引き下げ「さくらレポート」(日本)

2016年4月8日

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「さくらレポート」は、日銀が3カ月に1度発表する地域ごとの景気情勢をまとめた「地域経済報告」のことです。「さくら」は、報告書の表紙が薄いピンクであることにちなんでいます。全国9地域ごとの総合的な景気判断に加え、設備投資や生産、消費、雇用・所得などの概況が報告されます。なお、米国の連邦準備制度理事会(FRB)がまとめる地区連銀報告は表紙がベージュ色のため「ベージュブック」と呼ばれています。

【ポイント1】景気の改善度合いに変化なし

9地域のうち、東北の判断を引き下げ

■日銀は、4月7日に、「さくらレポート」を発表しました。中国を中心とした新興国経済の低迷や円高の進展など、外部環境の不透明感が強まる中で、地域経済の景気情勢が注目されていました。各地の景気情勢を見ると、東北が生産面で弱含んだ状態が続いているとして判断を引き下げられました。日銀が東北の景気判断を引き下げるのは、14年10月以来、17カ月ぶりのことです。残り8地域では、景気の改善度合いに関する判断に変化はないとされました。地域経済は総じて底堅く推移しているようです。

【ポイント2】内需の堅調さが支え

設備投資の増加が続く見込み

■需要項目別にみると、総じて生産(鉱工業生産)の持ち直しが一服しているようです。新興国経済の減速に伴う影響などから輸出や生産が鈍化していることが背景です。

■国内需要では、設備投資が緩やかな増加基調にあります。各地域における地場産業の設備投資動向を見ると、設備投資に慎重な企業が散見される一方、多様な投資に踏み切る企業も多いようです。例えば、成長分野である航空、環境・エネルギー、医療介護、農業などへの投資、訪日外国人の需要を取り込むための投資、防災関連への投資などと、広がりを見せているもようです。

【今後の展開】個人消費の持ち直しの持続が課題

■個人消費、雇用・所得は判断据え置き
個人消費は、雇用・所得環境の改善を背景に底堅く推移しており、判断は据え置かれました。地域別に雇用・所得を確認すると、生産の弱含みが確認された東北でも改善傾向が続いています。北陸、東海、中国は「着実な改善」、近畿は「一段と改善」と指摘されました。

■雇用・所得環境の改善持続に期待
2月の毎月勤労統計調査によれば名目賃金は4カ月ぶりに増加し、物価の変動を考慮した実質賃金も増加しています。一方、新興国経済の不透明の持続や円高が進めば、消費者のセンチメントへの影響も懸念されます。個人消費の持ち直しが持続するかが注目されます。

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