「日銀短観」の目のつけどころ(日本)【キーワード】
2016年3月31日
<今日のキーワード>
「日銀短観」とは、日銀が行う統計調査で、正式名称を全国企業短期経済観測調査といいます。調査の目的は、全国の企業動向を的確に把握し、金融政策を適切に運営することです。全国の約1万社の企業を対象に、四半期ごとに実施しています。3月調査は4月1日に発表されますが、国内のみならず海外の市場関係者からも注目されています。
【ポイント1】企業の景況感は業況判断DIで示される
市場は大企業製造業の景況感悪化を予想
■「日銀短観」では、最近と先行きについての企業景況感が確認できます。景況感は良いと回答した企業の割合(%)から悪いと回答した企業の割合(%)を引いて算出する業況判断DIで示されます。前回調査との比較によって景況感の改善または悪化の広がりを把握することができます。なお市場では、大企業製造業の最近の業況判断DIについて、前回12月調査のプラス12から今回はプラス8への悪化が予想されています。
【ポイント2】想定為替レートも公表
16年度は15年度比円高水準に
■企業景況感のほか、売上高や収益、設備投資額といった事業計画の実績・予測値なども公表されますが、とりわけ事業計画の前提となる想定為替レートは、市場関係者の関心の的となっています。
■前回12月調査で2015年度の想定為替レートは1ドル=119円40銭でしたが、今回示される2016年度の数字は、これよりもドル安・円高水準となる見通しです。4月以降、実際のドル円レートが、2016年度の想定為替レートよりも大幅にドル安・円高に振れた場合、輸出企業などの業績下振れ要因となるため注意が必要です。

【今後の展開】「日銀短観」で追加緩和観測浮上なら日本株は底堅い動きも
■4月4日には企業の物価見通しが公表される
「日銀短観」のうち、企業の物価見通しの概要が4月4日に公表されます。先行きの物価見通しが、前回12月調査から明確に下振れた場合、市場で日銀の追加緩和期待が高まる可能性もあります。
■短観は業績に慎重な見方を要する結果に
3月の「日銀短観」は、企業業績や日本株の先行きに慎重な見方が必要となる結果になりそうですが、追加緩和期待が高まった場合、日本株は3月の「日銀短観」後も底堅い動きをみせることも考えられます。