「夏のボーナス」、2年連続の増加(日本)【キーワード】
2015年5月20日
<今日のキーワード>
主要企業の「夏のボーナス」の大まかな支給状況については、一般財団法人「労務行政研究所」が毎年5月中旬頃に発表する「東証第1部上場企業の夏季賞与・一時金(ボーナス)の妥結水準調査」で把握できます。今年は企業収益の好調さを背景に、「夏のボーナス」は2年連続の増加となりそうです。
【ポイント1】「夏のボーナス」は前年比3%増加
リーマン・ショック直前の水準に近づく
■「労務行政研究所」が7日に発表した上場企業122社の「夏のボーナス」は、昨年夏と比べ平均で3.0%増の73万4,434円となる見込みです。増加は2年連続となり、リーマン・ショック直前に支給された2008年夏の水準(平均は74万3,380円)に近づいてきました。ちなみにリーマン・ショック後最低だった2009年夏の水準(平均は64万8,149円)からは13%増加する見込みです。
【ポイント2】建設、商業が高い伸び
冬のボーナスにも期待
■業種別に見ると、製造業は昨年夏に比べ2.6%増、非製造業は同4.1%増と非製造業の伸びが高くなる見込みです。減少は、その他製造、情報・通信のみで幅広い業種で増加が見込まれます。特に建設や商業の伸びが高い見込みです。
■円安や原油安などを背景に2014年度の企業収益は過去最高を更新し、2015年度も増益基調が続くと見られます。増益に見合う雇用者報酬の増加が不十分との見方もあり、冬以降のボーナス増加にも期待がかかります。

【今後の展開】賃金上昇が消費回復、企業収益拡大につながる好循環に期待
■実質賃金の上昇に期待
昨年から賃上げは見られるものの、消費税増税などもあり物価の影響を除いた実質賃金は、前年比でマイナスが続いています。4月以降は、さらなる賃上げが見込まれることに加え、増税の影響一巡と原油安で物価上昇率が低くなることから、実質賃金は増加に転じる可能性が高まっています。
■ボーナス、賃金上昇による消費回復に期待
13日に発表された4月の「景気ウォッチャー調査」では、賃上げなどを背景に地方の景況感も上向いてきました。今後は、ボーナスや実質賃金の増加期待などにより、全国的にも消費回復が期待されます。消費回復が企業収益の拡大につながり、さらなる賃金上昇に向かう好循環に期待がかかります。