「街角景気」、全国的に明るさが増す(日本)【キーワード】
2015年5月15日
<今日のキーワード>
「景気ウォッチャー調査」は、内閣府が毎月実施する景況感に関する調査で「街角景気」調査とも呼ばれます。タクシー運転手やコンビニエンスストアの店長、レストラン経営者など、景気に敏感な約2,000人が調査対象(ウォッチャー)です。3カ月前と比べたその時点の景気と、2~3カ月先の景気予測を調査します。算出された指数から好不況を判断する際の中立水準は、50ポイントです。
【ポイント1】現状判断DIは消費税増税後、初めて全地域で50ポイントを上回る
北陸は新幹線効果で大幅上昇
■4月の「景気ウォッチャー調査」(調査期間4月25日~30日)は、「現状判断DI」が前月比+1.4ポイントの53.6ポイントと5カ月連続で上昇し、3カ月連続で中立の50ポイントを上回りました。全国11地域中、沖縄以外の10地域で上昇し、消費税増税後、初めて全地域で中立の50ポイントを上回りました。特に北陸は、新幹線が開業したこともあり同+4.8ポイントの59.9ポイントと大きく上昇しました。
■街角の声には、「北陸新幹線が開業して1か月以上経過し、観光客が増加している。また、ビジネスでも人が増加している(北陸のタクシー運転手)」といった声や、「大手自動車会社などの賃上げの情報が中小企業にも影響しているのか、最近は客の動きが良くなっている(近畿のテーマパーク)」といった声が聞かれました。
【ポイント2】先行き判断DIも上昇が継続
訪日外国人旅行者への期待が続く
■2~3カ月先の見通しを示す「先行き判断DI」は前月比+0.8ポイントの54.2ポイントと5カ月連続で上昇し、4カ月連続で中立の50ポイント以上となりました。家計動向、企業動向、雇用ともに上昇しました。
■街角の声には、「賃金の上昇や賞与の増加、株高効果などにより、消費マインドは確実に上昇していく(近畿のスーパー)」といった声や、「春から中国の客船等の入港予定があるので、それに期待している(九州の商店街)」といった声が聞かれました。

【今後の展開】好循環による景気回復への期待が高まる
■「インバウンド消費」が国内消費の下支えに
訪日外国人旅行者の増加や賃金の上昇期待などにより、全国的に景況感は改善しています。訪日外国人旅行消費額(観光庁の推計値)は、2015年1-3月期で前年同期比64%増の7,066億円と大幅に増加しました。「インバウンド消費」は、「街角景気」にも実感として反映されてきており、消費の下支え要因として期待されます。
■企業収益拡大による賃金上昇、消費回復に期待
主要企業の3月期決算は、13日までに全体の約7割が発表されました。発表企業の2015年度の純利益の計画(日本経済新聞社集計)は、前年度比13%増の見込みです。好調な企業収益を背景に、賃金やボーナスの上昇期待も強まり景況感がさらに改善、消費回復につながることが期待されます。