2つの「コード」が株式市場を変える(日本)【キーワード】
2015年4月17日
<今日のキーワード>
日本の株式市場で2つの「コード」が注目されています。それは「コーポレートガバナンス・コード」と「スチュワードシップ・コード」です。2つの「コード」(規範)は、企業と機関投資家の積極的な「対話」を通じて企業の持続的な成長と企業価値の中長期的な向上を目指すものです。日本企業の「稼ぐ力」を取り戻すための2つの「コード」が、株式市場の期待形成に大きな影響を与えると考えられます。
【ポイント1】成長戦略を踏まえたコーポレートガバナンスの取り組み
「日本版スチュワードシップ・コード」と「日本版コーポレートガバナンス・コード」
■「コーポレートガバナンス」とは、企業が自社の価値を持続的に高めるための総合的な取り組み全般を指します。「コーポレートガバナンス・コード」は企業が責任を持って行動するための規範で、「スチュワードシップ・コード」は株主としての機関投資家が責任を持って行動するための規範です。
■2014年2月に「日本版スチュワードシップ・コード」が発表され、実施に移されています。また、15年3月には「日本版コーポレートガバナンス・コード(原案)」が発表されました。いずれも「日本再興戦略(2013年6月)」、「日本再興戦略 改訂2014(2014年6月)」を踏まえたものです。
【ポイント2】投資家や企業に積極的な行動を促す
成長戦略を推進するためのカギ
■企業や機関投資家の行動について、日本では明確な「規範」はありませんでした。「日本再興戦略 改訂2014」では、「コーポレートガバナンスの強化により、経営者のマインドを変革し、グローバル水準のROE(株主資本利益率)の達成などを一つの目安に、グローバル競争に打ち勝つ攻めの経営判断を後押しする仕組みを強化していくことが重要」とし、企業に積極的な取り組みを促しました。機関投資家の「スチュワードシップ・コード」への参加、公的・準公的資金の運用見直しなども成長戦略を推進するための重要なカギです。

【今後の展開】投資家の「対話力」と企業の「稼ぐ力」に変化が現れるかに注目
■求められる機関投資家の「対話力」
「日本版スチュワードシップ・コード」の策定・実施を受け、機関投資家には、投資先の経営計画や戦略等に対する理解に基づく建設的で目的のあった対話が求められています。大手生保の中には、ROEが5%に満たない企業に対して、「対話」を通じて改善を促す、という施策を発表するところも出始めるなど、変化が現れ始めました。
■6月以降の変化に注目
「日本版コーポレートガバナンス・コード」は、東京証券取引所が制度整備を行った上で、2015年6月1日からの適用が想定されます。6月の株主総会は新しい枠組みの中での開催となります。上場企業は、企業経営の明確な数値目標の提示、適切な情報開示と透明性の確保などが求められます。こうした中、機関投資家の「対話力」と企業の「稼ぐ力」に変化が現れるかが注目されます。