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「資金循環統計」、海外投資が拡大(日本)【キーワード】

2015年3月31日

<今日のキーワード>
日銀が3カ月ごとに発表する「資金循環統計」は、金融機関や企業、家計、政府などの各部門の金融資産と負債の推移を、預金や貸出といった金融商品ごとに記録した統計です。これにより、おカネの流れを全体的に把握することができます。例えば、家計がどのような金融資産を保有し、どの金融資産に資金を移動させたかを見ることができます。

【ポイント1】2014年は海外への証券投資が拡大

国内の低金利環境やGPIFの運用資産見直しなどが背景
■日銀は18日、「資金循環統計」を発表しました。これによると2014年の年金、投資信託、保険会社の海外への証券投資の買い越し額はそれぞれ4兆円を超え、合計で13兆円超に達しました。

■年金は、年金積立金管理運用独立法人(GPIF)が運用資産の構成を見直し、外国の証券を増やしたことが大きく影響しました。投資信託や保険会社は、日銀の大規模な金融緩和により金利が低下したことで、海外などに利回りを求める動きを活発化させたことが背景と見られます。

【ポイント2】家計は投資信託を大幅買い越し

NISAによる購入は約3兆円
■家計部門は、投資信託が約6兆4,000億円の買い越しとなりました。一方、海外証券投資の買い越し額は約4,500億円にとどまり、株式は約3兆円の売り越しとなりました。

■金融庁によると、2014年1月から開始されたNISA(少額投資非課税制度)は12月末で824万口座、購入総額は3兆円弱に達しました(速報値)。NISAが始まったことで家計資産の一部が投資信託に流れた面もあると考えられます。

【今後の展開】企業統治、「稼ぐ力」の強化で日本株の魅力度が高まる

■国内株式は公的年金と海外投資家が買い越し
2014年の国内株式は全体では約1.7兆円の買い越しとなりました。主体別に見ると、公的年金が約3.5兆円と大幅な買い越し、海外投資家も約1.6兆円の買い越しとなりました。家計は約3兆円の売り越しとなり、2014年の株式市場は、国内外の主要な機関投資家が支えたとも考えられます。

■アベノミクスでは企業統治、「稼ぐ力」を強化
アベノミクスの成長戦略では、コーポレート・ガバナンス(企業統治)や企業の「稼ぐ力」の強化を掲げています。長期的な企業価値増大に向け経営の仕組みを強化し収益性を上げることにより、グローバルに日本株への注目が集まることが期待されます。

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