「全国百貨店売上高」、増税後初の増加(日本)【キーワード】
2015年3月23日
<今日のキーワード>
「全国百貨店売上高」は、毎月20日前後に日本百貨店協会から発表されます。全国主要10都市別、主要10都市を除く地域別に商品別の売上高が発表され、地域別の消費動向が把握できます。また、外国人旅行者への免税品売上高もあり、インバウンド消費の動向も把握できます。2015年2月の調査対象は83社240店舗でした。
【ポイント1】消費税増税後では初めて前年比プラス
春物衣料や化粧品が好調
■19日に発表された2月の「全国百貨店売上高」は、前年同月比+1.1%(店舗数調整後、以下同じ)と昨年4月の消費税増税後初めて前年比でプラスとなりました。株高などにより消費マインドが上向いてきたことや、春節休暇による外国人旅行者の免税品売上が大きく伸びたことなどが背景です。
■中旬以降、好天に恵まれ気温が上昇したこともありスプリングコートなどの春物衣料が好調でした。また、外国人旅行者に人気のある化粧品は8カ月連続のプラスと好調さを維持しました。
【ポイント2】インバウンド消費がけん引
地方の一部に回復の兆し
■2月の外国人旅行者への一般物品売上高(昨年10月に新たに免税品となった消耗品を除く)は前年同月比約86億円増の約132億円となりました。外国人旅行者によるインバウンド消費の拡大は全体の売上高の伸びに大きく寄与しました。
■「全国百貨店売上高」を地域別に見ると、東京、大阪の大都市圏ではすでに回復基調が見られますが、地方圏ではまだ回復が遅れています。ただし、東北、関東、九州地区では11カ月ぶりに前年比プラスに転じるなど、地方にも回復の兆しがうかがわれます。

【今後の展開】インバウンド消費拡大、実質賃金増加で4月以降はプラス基調が定着へ
■免税店拡大の動きが強まる
インバウンド消費の取り込みを狙い、首都圏では家電量販店や百貨店などを中心に免税店を拡大する動きが強まっています。店舗新設に加え、海外仕様の家電製品、高級ブランド、化粧品などの売場面積を広げる店舗も増えています。小売業界ではインバウンド消費をいかに取り込むかが成長戦略のひとつとなっています。
■4月以降、売上高はプラス基調が定着へ
今年は前年を上回る賃上げが期待されることや、4月以降消費税率引き上げの物価上昇率への影響が無くなることから、実質賃金の増加が期待されます。消費マインド好転の兆しやインバウンド消費の拡大が押し上げ要因となり、「全国百貨店売上高」は4月以降、プラス基調の定着が期待されます。