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2015年春闘、「ベア」昨年を上回る(日本)【キーワード】

2015年3月20日

<今日のキーワード>
「ベア」とはベースアップの略で、賃金体系などを変更して基本給を引き上げることを指します。年齢や勤続年数に伴う定期昇給とは違い、賃金カーブの押し上げにつながります。ベアは企業への負担が大きいため、2000年代には徐々に見送られるようになりましたが、昨年から実施企業が増加しています。今年の春季労使交渉(春闘)では、ベア増額が期待されています。

【ポイント1】昨年を上回るベア回答企業が相次ぐ

小売業界は消費税増税の影響などでやや厳しい
■18日、自動車や電機などの主要企業は労働組合(労組)に対し賃上げ等を一斉に回答しました。円安などで業績が好調な輸出企業を中心に昨年よりベアが増額されました。トヨタ自動車が前年比1.5倍となるベア4,000円(月額、以下同様)を回答するなど、自動車業界は昨年を上回るベアが相次ぎ、一時金(ボーナス)は大半の企業が要求額の満額に近い回答となりました。電機業界でも一部の業績不振企業を除き、昨年を上回るベアの回答となりました。

■また、人手不足感が強い外食業界では人材確保に向けた賃上げに前向きで、満額回答の企業も見受けられました。一方、消費税増税の影響を受けた小売業界では厳しい回答の企業が多くなりました。

【ポイント2】約8割の企業がベアを実施

昨年に続き政府は賃上げを要請
■日本経済新聞のアンケート調査によると、賃上げのうちベアを実施すると回答した企業は全体の約8割と昨年の約6割を大幅に上回りました。また、ベアについては2割以上、ボーナスについては半数以上の企業が満額回答するとしています。

■今年も政府が賃上げを要請をしたことについて、約9割の企業が影響があったとしています。また2015年度の税制改正で賃金増加分の税額控除を拡充することも後押したと見られます。

【今後の展開】賃上げが消費、企業収益の拡大につながる持続的成長への転換に期待

■実質賃金の増加による消費回復に期待
物価上昇率はエネルギー価格の下落などにより低下傾向となっています。また、4月以降は消費税増税の影響が一巡します。物価の落ち着きと賃上げによる名目賃金の増加で、2013年7月以降マイナスが続いている実質賃金がプラスに転じ、家計の購買力を後押しすることが期待されます。

■賃上げが継続するようアベノミクスの浸透に期待
今後は、賃上げが消費、企業収益の拡大につながる持続的成長への転換が期待されます。また、中小企業への賃上げの波及や、来年以降も継続して賃上げが行われるよう、アベノミクスの成長戦略のさらなる浸透が期待されます。

※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。

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