明るさを増す「街角景気」(日本)【キーワード】
2015年3月10日
<今日のキーワード>
「景気ウォッチャー調査」は内閣府が毎月実施する景況感に関する調査で「街角景気」調査とも呼ばれます。タクシー運転手やコンビニエンスストアの店長、レストラン経営者など、景気に敏感な約2,000人が調査対象(ウォッチャー)です。3カ月前と比べたその時点の景気と、2~3カ月先の景気予測を調査します。算出された指数から好不況を判断する際の中立水準は、50ポイントです。
【ポイント1】現状判断DIは7カ月ぶりに中立の50ポイントを上回る
ガソリン安やインバウンド消費に期待の声
■2月の「景気ウォッチャー調査」(調査期間2月25日~28日)は、「現状判断DI」が前月比+4.5ポイントの50.1ポイントと7カ月ぶりに中立の50ポイントを上回りました。家計動向、企業動向、雇用ともに上昇しました。雇用は1月から、企業動向は2月から中立の50ポイントを上回っていますが、家計動向は48.4ポイントと依然50ポイントを下回っています。
■街角の声には、「ガソリン価格が低下していることで、電気料金などの値上がりに対して一息つくことができ、少しお金に余裕が出てきている(北海道のスーパー)」といった声や、「外国人観光客の買上が特に都心店舗で多く、化粧品や雑貨商材の売行きが好調に推移している(近畿の百貨店)」といったインバウンド消費に期待する声が聞かれました。
【ポイント2】先行き判断DIは家計動向、企業動向、雇用ともに50ポイントを上回る
賃上げによる消費回復への期待が強まる
■2~3カ月先の見通しを示す「先行き判断DI」は前月比+3.2ポイントの53.2ポイントと2カ月連続で中立の50ポイントを上回りました。家計動向が7カ月ぶりに中立の50ポイントを上回りました。すべてが上昇しましたが、特に飲食が大きく上昇したのが特徴です。
■街角の声には「当地域は自動車等の製造業が多く、今の状態が続けば春闘ではベースアップが見込まれ可処分所得が増えて消費の拡大に向かう(東海のスーパー)」といった賃上げによる消費回復に期待する声が聞かれました。
【今後の展開】企業業績の拡大や賃上げ機運の高まりにより景況感は改善へ
■賃上げ期待などにより景況感の改善が強まる
2月の「景気ウォッチャー調査」では、消費税増税後の回復にやや停滞感が見られる個人消費に明るい兆しが見えてきました。特に、賃上げに対する期待の声や原油安によるガソリン価格の下落で家計に少し余裕が出たという声が多く聞かれ、街角の景況感が上向いてきました。
■賃金上昇による個人消費の回復に期待
円安や原油安などを背景に2014年度の企業収益は7年ぶりに過去最高が見込まれます。企業収益の拡大が賃金上昇つながり消費が回復するという好循環への転換が期待され、景況感の上向き傾向も続くと見られます。