「法人企業統計」、利益拡大が加速(日本)【キーワード】
2015年3月3日
<今日のキーワード>
「法人企業統計」は、国内企業約2万3,000社(うち金融・保険業以外は約2万社)の財務諸表を集計した統計です。四半期毎に実施される「季報調査」と、年に一度実施される「年報調査」があり、財務省が発表しています。この統計により、国内企業の売上高や利益の増減、バランスシート(貸借対照表)の現状、設備投資額などを把握することが出来ます。
【ポイント1】設備投資は7四半期連続のプラス
10-12月期は製造業がけん引
■財務省は2日、「2014年10-12月期の法人企業統計」を発表しました。全産業(金融・保険業除く)の設備投資は、前年同期比+2.8%と7四半期連続でプラスとなりました。製造業が同+8.0%、非製造業が同+0.3%となり、10-12月期は製造業がけん引しました。製造業では化学、電気機械、情報通信機械などの増加が寄与しました。一方、非製造業では、サービス業や運輸業は増加したものの、電気業や情報通信業などの減少により小幅の増加にとどまりました。
【ポイント2】円安、原油安で採算が改善
中小企業の増益率も加速
■全産業(金融・保険業除く)の経常利益は、前年同期比+11.6%と前期の+7.6%から伸びが加速し、四半期ベースの過去最高を更新しました。円安により輸出採算が改善したことや、原油安によりエネルギーコストが低減したことが寄与したと見られます。
■資本金1,000万円から1億円の中小企業の経常利益は、前年同期比+19.0%と前期の同+5.8%から伸びが加速しました。中小企業については、円安による輸入原材料コストの上昇などから業績を懸念する見方もありましたが、全体としては円安や原油安の恩恵の方が優勢だったと考えられます。

【今後の展開】企業業績の拡大が個人消費、設備投資の回復を後押し
■企業業績の拡大基調は続く見込み
米国の景気拡大や円安を受け、輸出は昨年9月以降増勢傾向を強めています。また、鉱工業生産も輸出増を背景に持ち直しています。為替相場や原油価格が現状から大きな変動がなければ、前年と比べた円安、原油安の効果が続き、企業業績の拡大基調を後押ししそうです。
■消費回復への好循環の進展に期待
個人消費の回復にやや停滞感が見られるものの、企業業績の拡大が賃金上昇につながり、消費を押し上げる好循環の進展が期待されます。また、円安により国内生産を強化する動きもあることや、景気回復、企業マインドの好転にも支えられ、設備投資の増加傾向は続くと見られます。