拡大する「インバウンド消費」(日本)【キーワード】
2015年3月2日
<今日のキーワード>
「インバウンド消費」は外国人旅行者による日本国内での消費のことです。円安などを背景に、外国人旅行者数が大きく増加しており、「インバウンド消費」に注目が集まっています。2014年のインバウンド消費は、前年比+43%の約2兆円(観光庁推計値)と大きく増加しました。
【ポイント1】春節期間中の日本国内の消費が活況
都内の百貨店だけでなくテーマパーク、地方の観光地などにも恩恵
■中国の旧正月にあたる春節(2月18日~24日)には日本への旅行者が増加し、日本国内の小売店や宿泊施設は活況だったようです。日本経済新聞によると、銀座三越の春節期間の免税売上高は、前年比3.3倍となり、同じ期間の売上高全体に占める割合が4割近くに達したようです。春節による「インバウンド消費」の増加は都内の百貨店にとどまらず、家電量販店やテーマパーク、地方の観光地などにも広がりをみせているようです。
【ポイント2】コンビニや100円ショップも恩恵
規制緩和で免税店の拡大に期待
■外国人旅行者の買物場所で多いのは、ショッピングセンターや百貨店、空港などの免税店です。観光庁のアンケート調査をみると、コンビニや100円ショップなど免税店でない店舗での利用も多く見られており、「インバウンド消費」拡大の恩恵は免税店に限らず波及しています。
■4月から免税制度の規制が緩和され、複数の店舗で買物をした金額を合計して一カ所で免税手続きができるようになります。これにより外国人旅行者の利便性が高まり、店舗では煩わしい手続きが簡素化され、商店街などに免税店が広がることが期待されます。

【今後の展開】政府施策の後押しもあり、「インバウンド消費」の拡大は続く見込み
■ビザ発給緩和などで旅行者数が増加
「インバウンド消費」の拡大は円安の進展が大きく寄与していますが、政府の訪日施策の効果も見逃せません。タイやマレーシアなどビザの発給を緩和した国・地域からの旅行者は大きく増加しています。また、免税品目の拡大、海外での訪日キャンペーンなども外国人旅行者の増加に貢献しています。
■2020年には3兆円に拡大
政府は、東京オリンピックが開催される2020年に外国人旅行者数を2013年比倍増の2,000万人に増やす目標を掲げています。単純計算しても、2020年の「インバウンド消費」は約3兆円に拡大すると試算されます。幅広い業態で「インバウンド消費」拡大の恩恵があるとも見られ、景気回復を後押しすることも期待されます。
※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。